2017 Fiscal Year Research-status Report
膵関連自己抗体の早期検出法の開発と食・生活パターン解析による生活指導法の構築
Project/Area Number |
16K01846
|
Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
橋田 誠一 徳島文理大学, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (10156268)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 糖尿病 / 膵島関連自己抗体 / GAD抗体 / IA-2抗体 / インスリン自己抗体 / 1型糖尿病 / SPIDDM |
Outline of Annual Research Achievements |
1型糖尿病やSPIDDMを高精度かつ早期に検出するために、膵島関連自己抗体を同時に検出する新規の高感度マルチ抗体(インスリン 自己抗体、GAD抗体、IA-2抗体)検出法を開発する。そして、1型糖尿病患者(IDDMおよびSPIDDM)およびコホート検体を用い、その有 用性を検証する。 29年度は、28年度に1型糖尿病患者を対象に実施した3種の抗体測定に加え、新たに76名の1型糖尿病患者に対し、高感度GAD自己抗体、インスリン自己抗体及びIA-2自己抗体検出法の感度の検証を行った。その結果、3種抗体のうち1つでも陽性であった比率は81.6%(62/76名)、全てが陰性であった比率は18.4%(14/76名)であった。それぞれの抗体では、IAA陽性 61.8%(47/76名)、GADA陽性 51.3%(39/76名)、IA-2A陽性10.5%(8/76名)であった。内訳は、IAAのみ陽性 24.7%(19/76名)、GADAのみ陽性 16.9%(13/76名)、IA-2Aのみ陽性 1.3%(1/76名)、IAA陽性かつGADA陽性 28.6%(22/76名)、IAA陽性かつIA-2A陽性 3.9%(3/76名)、GADA陽性かつIA-2A陽性 1.3%(1/76名)、3種の抗体全て陽性 3.9%(3/76名)となった。 個別にみると、IAA、GADAが多くの検体から検出されたが、IA-2A単独で検出された例もあることから、3種抗体を測定する必要性が示された。 また、この新規の高感度測定法を搭載した高感度自動化装置(HI-1000)をシスメック社と共同で開発し、平成30年春に上市するとともに、これに搭載するGAD抗体やIA-2抗体検出キットについては、開発を進めている。さらに、これらの開発と並行して、5年間の前向きコホート研究試料を用い、GAD抗体を測定し、超高感度法の有用性の検証を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の概要にも記載しているが、GAD抗体、インスリン抗体およびIA-2抗体の高感度検出法が出来上がったので、これらの抗体検出法の有用性を、まず1型糖尿病患者試料を用い確認した。その結果、IAA、GADAが多くの検体から検出されたが、IA-2A単独で検出された例もあり、それぞれの抗体の単独検出系では、糖尿病関連自己抗体陽性検体を見落とす例危険性があることが示された。そこで、これらの3種の抗体を同時に検出するGAD抗体・インスリン抗体・IA-2抗体同時検出法の開発に着手しており、ほぼ順調に進行している。 さらに、これらの高感度検出法の自動化測定装置も完成しており、上市とともにこの機器に搭載する膵島関連自己抗体測定キットの開発も順調に進んでいる。 これらの機器とキットを用い、コホート検体の測定に取り掛かっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
SPIDDMは2型糖尿病の10%程度を占め、発症年齢が30-50歳と中高年に多いため、これらの年齢層での高感度膵島関連自己抗体検出法 の有効性の検証が必要である。徳島は17年連続糖尿病死亡率が日本1の糖尿病県であり、徳島健康・医療クラスターが2008年から実施 している同年代の非介入型コホート研究(糖尿病・メタボリック症候群発症に関係する因子を同定するコホート研究)試料を用い有効性を検証する。 SPIDDMの発症機構は未だ不明な点が多いが、GAD等の自己抗体が検出され診断される。しかし、その発症の初期には膵β細胞の崩壊があり、それ以前には膵β細胞の小胞体ストレスが増加していることが報告され、また、これには食生活も関与していることが示唆されている。本研究では、上述コホート研究から得られる食生活情報と膵島関連自己抗体検出の関連を解析し、その抗体産生(膵障害)リスクとなる食生活パターンを抽出する。
|
Causes of Carryover |
残額は87円であるため、繰越し金はない。
|
Research Products
(14 results)