2016 Fiscal Year Research-status Report
エネルギー消費増加を目指した食事誘発性熱産生発生機構及び褐色脂肪組織の寄与解明
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16K01855
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Research Institution | National Institutes of Biomedical Innovation, Health and Nutrition |
Principal Investigator |
山崎 聖美 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 国立健康・栄養研究所 基礎栄養研究部, 室長 (00218439)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 食事誘発性熱産生 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスを用い、代謝測定用ケージにて飼育して代謝ケージ内の酸素及び二酸化炭素量を測定し代謝エネルギーを計算し、たんぱく質、炭水化物、脂質により生じる食事誘発性熱産生を解析する系を新たに構築した。食事誘発性熱産生は摂取した栄養素の消化、吸収、輸送、貯蔵に使用されるエネルギーで、食事エネルギーの10%程度であり、食事内容によって異なり、たんぱく質は約30%、炭水化物は6%、脂肪は4%程度とされているが、本研究から得られた結果は、これらの値とは異なっていると推測された。また、マウスの種類によってもたんぱく質、炭水化物、脂質により生じる食事誘発性熱産生が異なる可能性を示唆する興味深い結果を得た。さらに、褐色脂肪組織よりミトコンドリアを調製し、ミトコンドリア内膜での酸化的リン酸化反応を脱共役させてエネルギーを熱として散逸する機能を有するミトコンドリア脱共役蛋白質UCP1の活性について解析を行った結果、この差異にはUCP1の活性は関係しないと考えられた。また、褐色脂肪組織の時計遺伝子について調べた結果、Bmal1は白色脂肪組織に、Npas2は肝臓と白色脂肪組織に、Per1は肝臓と白色脂肪組織に、Per2は白色脂肪組織に、Per3は肝臓に、Roralphaは肝臓と白色脂肪組織に、Rorgammaは肝臓に近いパターンを示したが、Rorbetaは肝臓とも白色脂肪組織とも異なるパターンを示した。またこれらのほとんどの時計遺伝子が高脂肪食摂取によってリズム変調を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
BATlessマウスを購入する計画であったが、購入する段階でこのマウスは系統維持が大変難しいという情報を販売元より得たため、BATlessマウスを用いる研究は行わないこととした。しかし、その他おおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度の研究結果から、マウスの系統によって基質として選択するものの優先順位が異なることが明らかになったので、当初の結果に種差も考慮することとした。
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Causes of Carryover |
BATlessマウス(FVB/N-Tg (UcpDta)1Kz/J)を購入する計画であったが、購入する段階でこのマウスは系統維持が大変難しいという情報を販売元より得たため、BATlessマウスを用いる研究は行わないこととしたため。(当初予定額、2ペア 約80万円)
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
褐色脂肪組織(BAT)内の本研究におけるターゲットとなりうる分子はいくつか想定できているので、それらを個々に操作することで研究を行う。
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