2017 Fiscal Year Research-status Report
廃用性筋萎縮抑制に対する他動的メカニカルストレスの関与
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16K01856
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Research Institution | Nadogaya Hospital (Laboratory for Mechanical Medicine, Nadogaya Research Institute) |
Principal Investigator |
原田 伊知郎 社会医療法人社団蛍水会名戸ヶ谷病院(名戸ヶ谷研究所メカノメディスン部門), メカノメディスン部門, 主任研究員 (00361759)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | メカニカルストレス / 細胞外マトリクス / 組織硬化 |
Outline of Annual Research Achievements |
運動による各種組織への機械的な刺激は、個体の恒常性維持に貢献することは広く知られている。これまでに、細胞に対する機械的刺激など、組織、細胞各種のレベルで確認されている。しかし、個体レベルにおける他動的メカニカルストレスの効果は、どの程度の負荷の大きさが筋萎縮予防や身体、各組織に反映されているかは不明なことが多い。本研究ではマウスを用いた他動的メカニカルストレスは神経支配下にない筋組織においても筋萎縮効果あること、また効果的なメカニカルストレスは組織の硬化レベルに相関していることを予備的知見とし、それらを定量的に解析することを目的とするものである。本研究ではこの他動的メカニカルストレスと組織の硬化度との相関解析を実現するため、組織の硬化を再現しつつとメカニカルストレスを加えることができる培養方法を考案するとともに個体における組織硬化と筋萎縮時に関与する分子等の比較を行うものである。 これまでの研究経過において、筋組織の不動化と腱肥大を伴う組織の硬化は相関はあるものの必ずしも一対一の対応する現象ではなく、独立して進行しうる現象であることが示唆されてきた。本年度はこれまでの実験結果で見いだしてきた、「筋萎縮は進むが腱の肥大をともなう線維芽細胞の増大はみられない下肢の固定化方法」と、「筋萎縮が進まないが組織の硬化が生じる固定化方法」に正/負の相関がある発現遺伝子の差違、線維芽細胞のフェノタイプの同定を本研究にて開発した培養方法と個体実験との比較し、関与物質・遺伝子等の特定を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスを用いた他動的メカニカルストレスの定量解析において、個体差が大きく統計的な有意差を見いだすことが困難であった。そこで、実験方法を差違が定量化しやすいものへと変更した。そのため、個体を用いた実験については計画当初より遅れている。一方、培養実験については新しい方法を考案し、速やかにデータ化できるなどの進展があった。トータルとして最終年度は最後の実験と解析にいたることができたため、おおむね順調と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
筋組織に対する他動的ストレスは、腱を含む菌組織の硬化レベルに依存していることが予備知見として得られていたが、組織の硬化を抑制する因子を見いだしつつある。そこで、最終年度は組織の硬化レベルと関与していると考えている遺伝子の発現の相関を定量化する。また、昨年度までに確立してきた筋組織の硬化レベルを再現する培養系において、目的遺伝子の関与を明らかにする。さらに、関与する遺伝子群がどのような幾序で活性化、不活性化しているかをも調べることで、他動的メカニカルストレスにおける筋萎縮予防法についても提案する。
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