2020 Fiscal Year Research-status Report
受傷後急性期の打撲傷を証拠化する試み~虐待の早期発見を目指す取り組み~
Project/Area Number |
16K01857
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
美作 宗太郎 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (50284998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 真紀 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (30292379)
大島 徹 秋田大学, 医学系研究科, 講師 (70464427)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 子ども虐待 / 打撲傷 / 赤外線サーモグラフフィーカメラ / 法医学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,従来から行ってきた研究の総括として,20例の打撲傷について赤外線サーモグラフィカメラによる経時的な皮膚温データの解析を行った.皮膚温であるため環境条件の影響が大きく,損傷部と非損傷部ともデータのばらつきが大きいが,損傷を受傷した当日(1日め)の損傷部と非損傷部の温度差は平均0.966℃,最大2.48℃で,損傷が治癒に向かうにつれて経時的に温度差が縮小する傾向が観察された.また,軽度な打撲傷では,受傷後早期から損傷部と非損傷部の温度差は殆どみられなかった.結論として,赤外線サーモグラフィーカメラは非侵襲的な検査が可能で,皮膚温を色調の違いで可視化できるため,損傷による熱感の証拠化に有効であることが判明した.但し,赤外線サーモグラフィーカメラは感度が鋭敏で,損傷に対する消毒薬・湿布の使用や痒疹・虫刺症などの炎症性の皮疹による僅かな温度差も明瞭に捉えるため,虐待の診断などの実務応用には注意が必要と考えられた.なお,これらの研究結果は「損傷による熱感の証拠化は可能か?」という演題で第104回日本法医学会学術全国集会(京都)において発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では,研究データの収集,同データの解析,そして研究結果の発表までを期限内で行う計画であった.しかしながら,研究開始の初期段階で研究に必要不可欠な赤外線サーモグラフィーの不具合で数か月単位でデータを取ることができない時期が複数回発生した.また,令和2年度は新型コロナウイルス感染症蔓延のため,被験者との接触の機会をなくすため研究を休止し,新規データを得ることが叶わなかった.以上のような当初予期していなかったことにより,上記区分の状態にあると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は新規データを得ることは叶わず,現時点においても感染状況によって被験者との接触が難しい.しかしながら,従来から収集してきた研究データを解析した研究結果は,令和2年度中に「損傷による熱感の証拠化は可能か?」という演題で第104回日本法医学会学術全国集会において発表することができた.今後は,感染状況が落ち着いて新規データを得ることが出来れば研究結果に加えるとともに,論文発表の準備を進めたいと考えている.
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Causes of Carryover |
令和2年度は,新型コロナウイルス感染症蔓延防止の観点から,新規データの集積を中止した.また,研究データを発表するための学会発表の費用については,オンライン発表となったため旅費は無料となり,学会参加費・発表費は別予算で対応したため,次年度使用額が生じた.次年度使用額については,感染が落ち着いて新規データの追加が出来れば使用するとともに,従来からの研究データを学会発表する際の旅費,また論文投稿する際の英文校正,投稿料などに使用する予定である.
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Research Products
(2 results)