2021 Fiscal Year Research-status Report
受傷後急性期の打撲傷を証拠化する試み~虐待の早期発見を目指す取り組み~
Project/Area Number |
16K01857
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
美作 宗太郎 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (50284998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 真紀 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (30292379)
大島 徹 秋田大学, 医学系研究科, 講師 (70464427)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 子ども虐待 / 打撲傷 / 赤外線サーモグラフフィーカメラ / 法医学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,従来から証拠化が難しかった受傷後早期の打撲傷を視覚的に確認するために,局所的な熱感を赤外線サーモグラフィーカメラにより可視化して客観的に捉え,経時的に皮膚温の変化を追うことで,その有効性を検討してきた. 赤外線サーモグラフィーカメラFLIR T440(FLIR Systems, Inc. USA)は非常に鋭敏で,打撲傷を受けた皮膚と周囲の健常な皮膚との温度差を捉えるのに有用であった.また,1つの打撲傷について経時的にデータを記録することにより,打撲傷を受けた皮膚と周囲の健常な皮膚との温度差が減少して治癒に向かう過程も視覚的に証明することに成功した.一方で,皮膚温が変化する状態(入浴後,運動後など)には検査をしないように注意してきたものの,虫刺症などの局所的に高温になる傷病や湿布など打撲傷に対する治療などによる温度変化も鋭敏に捉えるため,実務応用に際し慎重な使用が求められることも判明した.期せずして,新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延で,赤外線サーモグラフィーカメラは医療機関や空港などでも脚光を浴びて利用者が増えている.本研究を開始した当初は,赤外線サーモグラフィーカメラは高額で所有者も少なく利用範囲も広くはなかったが,将来は多方面で積極的な活用が可能になるだろう. なお,本研究の成果は国際学会(Topical Issues of Forensic Medicine and Expert Practice-2022)において発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年来の赤外線サーモグラフィーカメラFLIR T440(FLIR Systems, Inc. USA)のトラブルにより,過去の症例の保存データが読み込めない状況となり,当初の計画の症例数を下回った状態となっている.これに追い打ちをかけるように,令和3年度も新型コロナウイルス感染症蔓延により,被験者との継続的な接触は難しく,新規データを得るに至っていない.
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Strategy for Future Research Activity |
過去のデータの復活は困難で,また新規データの増加も見込めない状況が継続しているため,現在の研究成果をリモート形式の国際学会で発表するなどしている.今後,新型コロナウイルス感染症が落ち着いて新規データの追加が叶えば,いつでも盛り込んで解析できる体制であるが,現在集積されたデータをまとめて論文投稿をすることも検討している.
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Causes of Carryover |
前年度は新型コロナウイルス感染症蔓延により学会出張ができず,また被験者との接触ができないため新規症例データを追加することも叶わず,論文作成に至らなかったため,次年度使用額が生じた. 次年度は,現時点での研究成果で論文発表を検討しており,英文校正,論文投稿料,印刷費などに使用する計画である.
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