2022 Fiscal Year Annual Research Report
Trial of visualizing the evidence of a recent bruise: Approach aiming at early detection of the abuse
Project/Area Number |
16K01857
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
美作 宗太郎 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (50284998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 真紀 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (30292379)
大島 徹 秋田大学, 医学系研究科, 講師 (70464427)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 子ども虐待 / 打撲傷 / 赤外線サーモグラフフィーカメラ / 法医学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,赤外線サーモグラフィカメラによる打撲傷皮膚温データの追加がなかったため,従来から集積してきたデータを総合的に解析した. まず,20例の打撲傷皮膚温データ全体の結果は,損傷を受傷した当日(1日目)の損傷部と非損傷部の温度差は平均0.966℃,2日目は平均0.5858℃,3日目は平均0.522℃,4日目は平均0.455℃,5日目は平均0.426℃,6日目は平均0.402℃,7日目は平均0.26℃,そして8日目は平均0.30℃であった.但し,本研究のデータ解析における問題点として,経時的な打撲傷皮膚温測定の途中で打撲傷が完全に治癒した場合など,皮膚温データの欠測値が複数認められた.特に,多くの打撲傷が治癒に向かう6日目~8日目のデータについては,6日目では65%,7日目では80%,8日目では90%に欠測値がみられるなど,いずれも50%以上のデータが欠落していた.従って,データの信頼性と有効性を検討した結果,損傷を受傷した当日(1日目)のデータと,5日目および6日目のデータについて解析を進めることとした.損傷を受傷した当日(1日目)のデータと,5日目および6日目のデータについてWilcoxon sign rank testを行ったところ,前者ではp=0.008,後者ではp=0.018でいずれも有意差が認められた. 本研究結果から,赤外線サーモグラフィカメラにより打撲傷受傷による皮膚の熱感を可視化することが可能で,治癒するに従って打撲傷の皮膚温が低下していく様子を客観的に捉えられることが証明された.対象が受傷後急性期の打撲傷であるが故に,データの集積及び解析に困難な点が多く,コロナ禍もあり研究に時間を要したが,赤外線サーモグラフィカメラの一般社会への浸透は想定外であった.将来的に,虐待の早期発見を目指す取り組みとして,本研究の成果が実際の虐待症例に応用できる可能性が示唆された.
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