2016 Fiscal Year Research-status Report
少子社会における学校区再編・統合と子どもの生活空間
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16K01860
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
大西 宏治 富山大学, 人文学部, 准教授 (10324443)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 子ども / 通学圏 / 地理学 / 生活空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、通学圏の変化と児童の生活空間についての関係に関して、既存の研究を整理するとともに、その分析手法について検討した。日本国内の研究は事例が少なく、英語圏に既存の研究を求めた。 英語圏において、児童の通学は保護者や監督者による送迎が存在することが多く、通学圏の変化が、直接的に生活空間の変化につながるような指摘は、この20年ほどの研究では指摘されていない。しかし、1950年代や1970年代には、通学行動が生活の質そのものへ影響を与えることが指摘されてきた。また、分析手続きとして、教育学などで取り上げる友人関係の変化や、地理学や都市計画などで検討されてきた遊び空間の変化などを指標にできることもわかった。 英語圏の研究を整理する中で、「子どもの地理children's geographies」が英語圏において確固たる地位を築きつつあるのに対して、日本でそのような兆候が見られないことがわかった。これは本研究の副産物といえる。そこで、その原因を分析した。英語圏の子どもの地理の守備範囲の一部は建築学や造園学、都市計画や地域計画に担われており、地理学本体で取り上げられないからといって、特に子どもの地理学が行われていないということにならないことがわかってきた。また、日本の人文地理学界では経験的な研究の中にポストモダン以降の地理学が十分反映できておらず、そのことが、1990年代後半から勃興してきた子どもの地理に着手できないことにもつながっているのかもしれない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既存の研究を整理したことから、通学圏の変化と生活空間の変化の間の関係をとらえる調査手法、分析手法が明確となり、事例地域さえセットできればスムーズに研究が行える状態となった。
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Strategy for Future Research Activity |
通学圏の変化について、GISを用いたシミュレーションを実施する。また、通学路の変化と児童の生活空間の変化を検討するための事例地域を1地域選定する。これが平成29年度の課題となる。それと合わせて、平成28年度の英語圏の子どもの地理学の動向の整理を、何かの形でまとめ、研究成果として公表したい。
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Causes of Carryover |
平成29年4月5日~9日に米国のボストンで開催されたアメリカ地理学会2017年大会で研究成果を発表するため、平成28年度の使用額から、渡航費用を勘案し、残額を生じさせ、それを用いて渡航した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
すでに平成29年4月の渡航で使用済み。
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Research Products
(6 results)