2017 Fiscal Year Research-status Report
少子社会における学校区再編・統合と子どもの生活空間
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16K01860
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
大西 宏治 富山大学, 人文学部, 准教授 (10324443)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 子ども / 小学校区 / GIS / 学区再編 |
Outline of Annual Research Achievements |
小学校区再編と子どもの生活空間との関連性について、事例地域調査として砺波市と小矢部市を事例とした調査を実施した。砺波市では子育て世帯の戸建て取得により人口増加が生じている地域で、小学校から比較的近い地域で農地転用による住宅開発が起こっていることが分かった。同じようなことが黒部市でもみられた。 また、子ども密度の高低が遊び方の地域差に現れるかどうかという点について、氷見市で実施した調査では、そもそもの子供の屋外活動が低調であり、子ども密度の差により屋外活動の差異がみられるかどうかは検証できなかった。ただ、小学校と集落の距離で遊び活動をみると、そこに差異があることも推定できた。 小学校区の将来予測については、児童人口の推計を富山市や射水市、砺波市でコーホート分析により算出しつつある。これにより将来の小学校数や学区の様態を推測でき、児童の生活空間の将来変化について検討することが可能となる。 児童密度を考えたとき、公園やその他の遊び場の配置や種類も問題となる。これらを検討するために、放課後の生活空間の小規模な実態調査を富山市、氷見市で実施したが、放課後は習い事などで学校での仲間集団から分断されることもあり、児童の生活空間、遊び空間を居住地の周辺と設定して議論することにも無理があることもわかってきた。さらに、保護者の子ども観によっても、子どもたちの遊びの様態は規定され、また自動車交通が中心の地域では送迎活動などが児童の生活空間へ大きな影響を与えていることもわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小学校区の再編と児童の生活空間の関連性について、事例地域を設定し調査を行うことができている。また、将来の児童人口の推計を行い、児童にとっての地域の変容を検討しており、まだ空間的な解析が終わっていないが十分に成果が上がっているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
児童人口の推計結果をGISで可視化・分析して、児童の生活空間の将来予測を行う。特に少子社会化が進む中、少人数の児童のみを残した小学校を数多く維持すると、社会性をはぐくむ観点で問題が生じる。そこで、一定規模の小学校を維持する場合の児童の通学距離や遊び空間の形態などを検討する。その成果を通じて、児童の生活空間の将来像を考えた地域づくりについて提言を行う。
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