2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K01869
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
大谷 直史 鳥取大学, 大学教育支援機構, 准教授 (50346334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥野 隆一 佛教大学, 社会福祉学部, 教授 (10437519)
柿内 真紀 鳥取大学, 大学教育支援機構, 准教授 (70324994)
石本 雄真 鳥取大学, 大学教育支援機構, 講師 (90612309)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 親密圏 / 子どもの貧困 |
Outline of Annual Research Achievements |
親密圏、家族、贈与、居場所、コミューン、子どもの貧困等をキーワードに、広く文献・資料を収集するとともに、これらにかかわる学会等への参加を行い、子どもにとっての親密圏概念を構築する基礎資料を得た。またこども食堂、放課後児童クラブ、森のようちえんなど子どもの支援にかかわる諸団体とかかわりを持ち、それらの場所が子どもにとって親密な関係性を得るための諸条件、また学齢期においては、家庭と学校での友人関係に閉じられているであろう子どもの親密圏の可能性を検討した。 また鳥取市の「子どもの未来応援計画」の策定に関わって、「鳥取市子どもの生育環境調査」を2016年8月に実施した(5歳児、小学校3・6年生、中学校3年生計3,598名、有効回答数計1173名)。本調査では、経済的・文化的・社会関係的な資源の多寡と進学期待・希望、生活満足度、自己肯定感、学業の主観的達成度等の関連を検討し、今後の支援のあり方について課題を提起した。他府県(大阪府、沖縄県、足立区等)での調査と同様、経済的・文化的資源をより多く持つことが生活満足度、自己肯定感、学業の主観的達成度を高める方向に寄与していた。社会関係的資源は経済的資源とは独立に生活満足度を高めることに寄与しており、子どもの居場所づくりが一定程度有効であることが示されたが、学業の主観的達成度には影響がなく、今後の支援のあり方に課題を提起する結果となった。本調査では相談できる相手を尋ね、その数によって社会関係的資源を把握するにとどまったが、その相手や関係性による影響の違いを把握することが今後の課題としてある。 一方で鳥取大学子どもの発達・学習研究センターと連携しながら、子どもの生活実態を把握するコホート・データを収集している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
子どもにとっての親密圏概念の把握は、主に家族に関わる文献が多数であり、いまだすべてを俯瞰的に把握しているとは言えない。しかし近年の子どもの居場所に関わる事項は、その実践も含めて動向をフォローできている。ただし、先行事例については鳥取県を含め、部分的にしか把握されていない。また児童期に関わる知見は収集されつつあるが、乳幼児期・青年期に関してはやや遅れている。 全国の施設調査がそのデータ収集を含めて予定通り進んでいるわけではないが、これは鳥取市における「子どもの未来応援計画」策定に関わって、事例研究を先行させたためである。本調査は次年度予定されていた予備調査の位置づけを持ち、質問紙の設定等についての検討は進んでいる。またコホート調査データ収集は予定通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
当該領域は研究者ばかりでなく、実践現場の関心が高く、都道府県(市町村)による実態調査も随時行われている。場合によってはそうした調査とも連携を取りながら、効率的に研究を進めたい。またこども食堂をはじめ、市民活動レベルの実践も含め、活発な事業展開が見られることにも留意して、調査対象の選定にあたることが必要である。
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Causes of Carryover |
当初の予定を変更し、子ども及び保護者に対する予備調査を先行させ、施設調査を保留したことにより次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度の実施予定であった施設調査、とりわけ幼児期・青年期における諸実践の視察と質問紙予備調査を実施する。
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