2016 Fiscal Year Research-status Report
<子どもの権利条約システム>における子どもの権利保障のあり方に関する日独比較研究
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16K01873
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
山岸 利次 宮城大学, 看護学部, 准教授 (50352373)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 子どもの権利条約システム / 子どもの権利委員会 / NGO報告書 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は本研究を遂行するにあたり、国内で可能な基本文献の収集とその読解に費やした。特に、2017年に日本政府による国連子どもの権利委員会への報告書の提出が予定されている。政府と国際機関である子どもの権利委員会のやり取りは「子どもの権利条約システム」において1つの画期であるが、こうした状況に鑑み、以下のことを検討した。①:前回の国連子どもの権利委員会による日本政府への勧告の実践的解釈の可能性。②:①と併せて国連子どもの権利委員会による一般的注釈の日本における実践的解釈の検討。③:①②を基本とした、日本における子ども権利の<保障/侵害>状況の精査。とりわけ、現在進行中の教育改革や東日本大震災の被災地における子どもの状況の「子どもの権利」という観点からの検討。以上の作業から、日本においては、「子どもの権利条約」が問題化しうる権利の侵害状況とでも言うべきものが数多く存在していることが明らかになった。しかし、その一方で、「子どもの権利条約」が―一般的標語としてはともかくも―「法源」として社会において位置づいているかというと決してそうではなく、その意味では、「子どもの権利条約」がまだまだ日本社会に根付いていないということも示唆された。なお、本年は、本研究の柱としていた日独比較研究という課題を十分にこなすことができず、この点は大いに反省しているところである。これについては、出来る限りはやく検討することができればと考えているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遺憾ながら今年度は研究達成が遅れている。国際比較よりも国内の子どもの権利状況の検討―とりわけ、いじめ問題―について喫緊に対応すべき事項があったことが主たる原因である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定に追いつくべく研究を行っていく。特に本年は日本政府が国連子どもの権利委員会に報告書を提出する年である。こうした状況も念頭に置きながら比較研究を行いたい。
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