2016 Fiscal Year Research-status Report
発達障害児における運動発達の特徴に焦点を当てた機能把握と発達促進プログラムの開発
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16K01874
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
新田 收 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 教授 (80279778)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 雅弘 植草学園大学, 保健医療学部, 准教授 (40453485)
小山 貴之 日本大学, 文理学部, 准教授 (80579110)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 運動・遊び / 発達障害 / 感覚異常 / 運動機能 / 運動発達 / 協調性 / アンケート / 自閉症スペクトラム障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】 発達障害はコミュニケーション,学習に関わる能力の障害として認知されることが多い.しかし,運動発達も慎重に評価する必要がある.運動に関して発達障害は不器用さやぎこちなさが指摘されている.こうした粗大運動の稚拙さの要因として,感覚入力の問題が指摘されている.発達障害児に対して有効な運動指導プログラムを立案するためには,乳幼児における感覚入力と運動発達の関係を明らかにする必要がある. そこで研究では,幼児の運動発達と感覚異常の関係について把握することを目的とした. 【方法】幼稚園に通う幼児(平均年齢4.4)164名を分析対象とした,保護者に対して対象児の状態に関してアンケート調査を行った.調査内容は,1)過去および現在の感覚異常の傾向.2)現在の運動発達(動作の模倣). 【結果】感覚異常で多く見られた項目を以下に示す.砂場で遊ぶことを嫌がることがあった(36.5%).手をつなぐことを嫌がることがあった(31.0%).手が汚れることを嫌がった(26.5%).転ぶなどしたとき疼痛を訴えないことがあった(20.0%).運動発達は現在の状態を以下に示す.協調運動としてスキップができない(36.5%).その他,簡単な動作模倣でない(7.3%),四肢の動作がぎこちない(3.7%).上記感覚異常と未熟な運動発達の関係を分析結果,有意な関連性が示された. 【考察】協調性の未熟さは触覚など乳児期の感覚異常が要因の一つであることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2016年度当初計画では,「感覚入力」「姿勢制御」「協調運動」「運動イメージ」を運動発達における重要な要素としてとらえ,障害の重症度・および運動発達の特徴を敏感にとらえることが可能か検証するとした. 分析結果は以下の学会で報告委した.1)青年期発達障害児における上肢の協調性とボールを使用した運動の関係,第26回日本保健科学学会学術集会,平成28年10月(査読付).2)青年期発達障害児における協調性とBox and Block Testの関係,第26回日本保健科学学会学術集会,平成28年10月(査読付).3)青年期発達障害児における立位平衡機能と筋肉量の関係,第26回日本保健科学学会学術集会,平成28年10月(査読付).4)発達支援通所事業利用児における6か月間の協調運動の変化‐定型発達5歳児と比較検討‐.第53回日本リハビリテーション医学会学術集会(京都).2016年6月9-11日.(査読付).5)幼児における運動発達と感覚異常の関係.第71回日本体力医学会(岩手),2016年9月(査読付) 結果として「感覚異常」と「協調運動」の未熟さの関係について,一定の分析を終えることができた.このことは大きな成果と考える.ただし発達障害の診断名を持つ児を対象とした調査は,十分な症例数データ収集が終わらなかった.これは,分析対象施設のける通所授業参加した児,が予想数を下回ったためであった.2017年度も計測を続けることで,この点は改善することが可能である.
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度研究計画を継続するとともに,2017年度に関し以下の計画を実行する. 1)評価結果による特徴把握:2016年度に検証を行った評価結果をもとに,対象児の運動発達における特徴をレーダーチャート化し,視覚的な可能とする.特徴把握のための評価試験は,2016年度同様の対象者とし,定型発達児および発達障害児に対して行う. 2)指導メニュー開発:「感覚入力」「姿勢制御」「協調運動」「運動イメージ」4領域それぞれに,低難度から,高難度にわたる運動指導メニューを開発する.指導方法は先行研究等をもとに,対象児にとって①容易であり,②受け入れやすく,③理解しやすいメニューとする.「協調運動」を例にとると①静止したボールを蹴る,②向かってくるボールを蹴り返す,③ボールを蹴り返しゴールへシュートする,④ドリブルしシュートする(図5),などの段階を用意する.各課題は3歳児であれば理解可能とするが,認知機能が3歳以下および言語理解が不可であっても対応可能とする. 3)プログラム作成のマニュアル化:評価結果レーダーチャート,歴年齢,言語理解の程度をもとに,運動指導メニューを上記4領域から選択する手順をマニュアル化する.
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Causes of Carryover |
予定していた,研究助手賃金が予定額を下回ったため,残金が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
この金額は次年度予定される調査のための,研究助手賃金に充てる予定である.
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Research Products
(11 results)