2017 Fiscal Year Research-status Report
発達障害児における運動発達の特徴に焦点を当てた機能把握と発達促進プログラムの開発
Project/Area Number |
16K01874
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
新田 收 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 教授 (80279778)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 雅弘 城西国際大学, 福祉総合学部, 准教授 (40453485)
小山 貴之 日本大学, 文理学部, 准教授 (80579110)
楠本 泰士 東京工科大学, 医療保健学部, 講師 (60710465)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 運動・遊び / 発達障害 / 感覚異常 / 運動機能 / 運動発達 / 協調性 / アンケート / 自閉症スペクトラム障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
対象は、千葉県内の幼稚園に通う定型発達児、平均年齢8.34±1.82歳とした。本研究は、首都大学東京倫理委員会の承認を得た。 床面に全長8mの歩行路を設定し、ゴール地点をコーンにより明示した。対象児に歩行路を自らの身体を変化させることなく、心的に運動イメージをさせる試行と、外部情報を加えながら心的に運動イメージをさせる試行、実際に歩行路を通常歩行させる試行を口頭指示し、実施した。いずれも検者のスタートの合図によりイメージを開始し、ゴール地点到着時に挙手の合図によって計測をした。そして、検者がストップウォッチを用いて時間計測を行った。外部情報は、足跡による視覚情報とメトロノームによる聴覚情報をランダムに与えた。 対象児の転倒経験に関しては、保護者に対し紙面でのアンケートを行った。なお、アンケートの参加は任意であり、回答を途中で拒否することも自由とした。 アンケート調査により、転倒経験が多いか、少ないかで対象者を2群に分類し、情報なしの心的運動イメージと実測歩行時間誤差と、情報入力ありの心的運動イメージと実測歩行時間誤差を((心的運動イメージ時間(情報なし)-実測歩行時間)-((心的運動イメージ時間(情報あり)-実測歩行時間))、独立したサンプルのt検定にて比較分析した。 転倒経験が多い小児は、脳や神経機能の発達が未熟であることから、視覚や聴覚の情報の統合処理や注意判断が困難になっており、外部の情報が加わるとかえって運動イメージがうまく形成されないことが推測された。その結果、日常生活において瞬時に外部からの視覚や聴覚などの情報に対応できず、転倒や外傷事故につながっていると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
定型発達児,および発達障害児の運動に関するデータを収集し,分析を行った.分析結果は,発達障害児の運動特性要因の一部を明らかにするものであった.これらの研究成果は,国内外の複数の学会で発表に至っている.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度では,発達特性を詳細に評価し,個々に適応した,運動指導プログラム開発を行う.すでに,評価方法に関しては,開発を終了しており,再現性,妥当性の検討も進んでいる.こうした尺度を利用し,対象児個々の特性の把握と,最適な指導プログラムの関係を分析する.研究フィールドは,関東域の保育園,幼稚園,通所施設とする.すでに,これらの施設において,継続的にデータ収集を進めており,データ数確保に問題はない.また通所施設では,発達障害児を対象とした,運動指導プログラムの提供を試行開始している.この結果は,6カ月以上の経時的変化をふまえ,分析する計画である.
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Causes of Carryover |
実験協力者に対して,謝金を用意したが,協力者に対する謝金が不要となったため,36,272円の余剰が生じた.30年度は最終年度であり,調査のための消耗品,交通費などが必要なため,この金額はこれらに充てる計画である.
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Research Products
(20 results)