2017 Fiscal Year Research-status Report
赤ちゃんにやさしい病院における母乳育児ベンチマークの作成
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16K01875
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
西巻 滋 横浜市立大学, 附属病院, 教授 (20275043)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 母乳 / BFH / 新生児 / 母親 |
Outline of Annual Research Achievements |
厚生労働省の「健やか親子21」では、母子の健康増進のために母乳育児を推進し、生後1か月の母乳率を60%に上げたいとしている 。そこで、生後1か月時母乳率が80-90%と母乳育児に成功し、WHOとUNICEFから「赤ちゃんにやさしい病院(Baby Friendly Hospital: BFH)」として認証されている施設から母乳育児を成功させる要因を解析し、母乳育児を推進する上での方略を得ることが目的である。 研究対象は我が国の「赤ちゃんにやさしい病院」である。母乳育児の成功を母乳育児の継続とした(WHOは2歳以降までの母乳育児を推奨している)。平成29年度および30年度にBFHから提出されたデータから、1か月時に高い母乳率であれば、その後も母乳で育つ赤ちゃんの率は高いことが分かった。そこで好成績の施設を訪問した(平成28年舞鶴共済病院(京都府舞鶴市)、平成29年津軽健生病院(青森県弘前市)、あわの産婦人科(富山県下新川郡入善町)、平成30年春ウイメンズクリニック(宮城県名取市))。一方で母乳育児の推進に苦労している施設も訪問した(平成29年旭川医大(北海道旭川市))。それらの訪問結果から見えてきたのは、対象となる母子を取り巻く育児環境(母親の健康やサポート体制など)とそこに関わる医療側の介入(継続的な母乳育児支援)が大きな要因だと考えられた。母親の母乳育児に対する思いとそれを支える周囲環境の整備への注力も肝要であろう。 成果:(1)西巻滋:小児栄養-母乳栄養のコンセプトを考える-.MedPeer.2018年03月05日公開、(2)山田学,西巻滋、他:「赤ちゃんにやさしい病院」における退院時/一か月母乳率と周産期データの関連.第53回日本周産期・新生児医学会,2017年7月17日、(3)西巻滋:私たちが目指すこれからの母乳育児を考える.立川相互病院講演,2017年10月25日
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データの収集の進捗 BFHから提出される母乳育児に関わるデータの収集は、計画では2011年から2015年までの5年分の予定であったが、2007年から2017年までの11年分のデータを収集することができた。当初の予定よりデータ量を増やすことができた。 成果は以下の通りである。(1)西巻滋:小児栄養-母乳栄養のコンセプトを考える-.MedPeer.2018年03月05日公開、(2)山田学,西巻滋、他:「赤ちゃんにやさしい病院」における退院時/一か月母乳率と周産期データの関連.第53回日本周産期・新生児医学会,2017年7月17日、(3)西巻滋:私たちが目指すこれからの母乳育児を考える.立川相互病院講演,2017年10月25日
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Strategy for Future Research Activity |
データの収集 2017年のデータを加えて、BFHの経年的な母乳育児のデータを解析する。 施設訪問の予定として、日本で1番長くBFHとして活躍している岡山医療センター(岡山県)、地域で活動している公立芽室病院(北海道芽室市)を予定している。 成果は、周産期新生児医学会、母乳育児シンポジウム、BFH施設連絡会議等で発表する予定である。 また、BFHのデータをまとめて、「我が国における赤ちゃんにやさしい病院BFHの25年のあゆみ」を出版する予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)旅費、謝礼、人件費等での使用額が少なかったため、次年度使用額が生じた。 (使用計画)平成30年度は施設訪問が増えるので、相応の支出が想定される。 3年間のデータをまとめて「我が国のおける赤ちゃんにやさしい病院BFHの25年のあゆみ(仮)」として500冊を印刷する予定である。それによって成果がBFHなどの施設に届き、有益となる。
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