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2016 Fiscal Year Research-status Report

親の放射線不安およびリスク認知が育児環境におよぼす影響について

Research Project

Project/Area Number 16K01879
Research InstitutionTokiwa University

Principal Investigator

申 紅仙  常磐大学, 人間科学部, 准教授 (80382828)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywordsリスク認知 / 意思決定 / 東日本大震災 / 原子力発電への態度
Outline of Annual Research Achievements

東日本大震災(2011年3月11日発生)により発生した福島第一原子力発電所事故は、福島県在住者を中心に北関東・東北と広範囲にわたり深刻な被害をもたらした。
本研究では、福島第一原子力発電者事故により、移住・避難を余儀なくされた発電所周辺住民(福島県)、福島在住者、激甚災害指定を受けた北関東在住者を中心に面談調査を行い、災害当時の状況・不安・現在の状況や原子力利用に対する態度を調べた。
面談対象者は、大学生21名(福島県出身者(避難および移住)11名、茨城県在住者(激甚災害指定)10名)。年齢:18-22歳、全員が大学生であり、当時高校生を対象とした。実施期間:2016年8月-11月。面談での質問項目は「震災当時の状況」、「震災後の生活」、「原子力発電についての考え」等であった。面談時間は1回あたり30分-45分程度であり、被面談者の希望に応じて複数名でのグループ面談も行われた。
面談の結果、福島県出身者は原子力発電について賛成態度を持つ割合が高く(賛成10名・反対1名)、また、福島県に住むことについての抵抗がなく、現在は県外在住ながらも将来は福島県に戻る意思を持っている意見も少なくなかった。対して、近接県(茨城県在住者)在住者の原子力発電に対する反対態度は7割(賛成3名、反対7名)と福島県出身群よりも強く、食品や居住を中心に福島県への抵抗が少なからず見られた。
両者の違いは原子力発電利用に対する人々の抵抗感や不安、風評被害に対するリスクを懸念させるものであった。本調査結果から、事故発生後約6年の年月が経過している現在も原子力発電に対する抵抗が福島県以外では依然根強く、福島県在住者や出身者との意識どの乖離が大きいことが示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

2016年4月14日に発生した熊本地震により懸念された問題、①被災者の精神的苦痛、②発生直後の過度に不安定な側面を調査してしまう恐れ、③東日本大震災による影響との選別が困難になってしまう、などの点を考慮し、初年度に予定されたウェブ調査の実施期間を次年度に修正した。
これまでの自然災害発生後の災害調査などの経験から、災害発生直後には被災者の生活が不安定な状況に陥っているため、質問項目の多い調査は対象者に負担を強いることになる可能性が高いことが分かっていた。また、災害直後は行政や防災担当者に対して、過度に批判する態度が多く見られ、今後の防災のための建設的な意見や後世に残すべき貴重な災害体験を収集することが非常に困難になりうることも分かっている。これらの問題を解決するためには、一定期間の経過を待つ必要があり、被災者の生活の安定または精神的な苦痛が軽減された後に、改めて意見を伺わせてもらう方が良い。
原子力に関する場合も同様の傾向を考慮する必要がある。原子力の利用に関する問題は、歴史的に長きにわたって根強い不安と反対態度の地域差などの問題が見られてきた。東日本大震災による福島第一原子力発電所事故後は、これまで以上の配慮が必要であることは明らかである。2011年より5年以上経過した今こそが調査に適していると判断していたが、熊本地震の甚大な被害による人々の意識の変化や影響を考慮し、初年度は調査手法を面談調査とすることとした。

Strategy for Future Research Activity

初年度に当初予定していたウェブ調査ではなく、面談調査を拡充することにした。面談者が被面談者をフォロー・ケアすることが出来るためである。
また面談による調査を拡充したことによって、大規模なアンケート調査を行うための重要なキーワードや概念を収集することが出来た。
2016年熊本地震より1年経過したこともあり、人々の意識も比較的安定していることが期待される。これらの問題を確認しつつ、2017年度は当初の予定に戻ることが出来るよう調査を迅速に進めていく。

Causes of Carryover

先述の通り、2016年4月14日に発生した熊本地震により懸念された問題、①被災者の精神的苦痛、②発生直後の情動的に過度に不安定な側面を調査してしまう恐れ、③東日本大震災による影響との選別が困難になってしまう、などの点を考慮し、初年度(2016年度)に予定されていたウェブ調査の実施期間を次年度に行うこととした。また初年度は、面談調査を行ったことにより、実施のための出張費のみ支出として計上することになった。さらに次年度にウェブ調査だけではなく大規模な調査を行うべく支出を抑えた。
以上の点から、次年度使用額として生じることとなった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

調査対象者の負担や様々な問題を考慮し控えていた、ウェブおよび質問紙調査を行う予定である。また必要に応じて面談調査も継続する。【ウェブ・質問紙調査】調査対象には、新潟県及び福島県双葉郡(原子力発電所所在地)住民を含めた、関東1都6県等に質問紙を配布(郵送配布・回収)する。被災の有無、避難・移住の有無によって群間比較が可能となる項目も準備する。対象者は、住民票よりランダムサンプリングし、質問紙を郵送する。質問紙は各県200部郵送。同時にウェブ調査を実施し、配布数の不足分を補うと同時に全体のリスク認知水準を把握する。【インタビュー調査】各都道府県住民を対象にインタビュー調査を行う。原子力発電所所在地周辺住民および東京都住民、放射線に対する不安から関東から移住した家庭を中心に10組以上を予定。1名または1組(または集団)あたり90分程度を予定。面談形式は、構造化面談方式と非指示面談方式を採用する。

  • Research Products

    (1 results)

All 2017

All Book (1 results)

  • [Book] 「産業・組織心理学」(担当賞:13章「職務分析と作業研究」)2017

    • Author(s)
      申紅仙(分担執筆)
    • Total Pages
      19
    • Publisher
      白桃書房

URL: 

Published: 2018-01-16  

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