2019 Fiscal Year Annual Research Report
Effects of radiation anxiety and risk perception of parents on the child-rearing environment
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16K01879
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Research Institution | Tokiwa University |
Principal Investigator |
申 紅仙 常磐大学, 人間科学部, 教授 (80382828)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | リスク認知 / 保護者 / 東日本大震災 / 子どもへの影響 |
Outline of Annual Research Achievements |
東日本大震災において被災した保護者及び子供たちのキャリアにかかわる影響について調べた。今年度は2016-2018年度において行ってきたWEB調査・質問紙調査・インタビュー調査結果の再分析を行った。また、東日本大震災後に原子力利用に対する強い不安から、キャリアチェンジ後に移住・引越をした方を対象に継続、面談調査を行った。今年度は原子力発電所事故発生地域である福島県在住者ではない方を対象とした。 面談調査では、現在の家族の状況とともに、福島第一原子力発電所事故後の経年による心境の変化などにも言及していただいた。面談対象者には、原子力利用を行っていない海外を選択し海外への移住を決断した夫婦にも面談協力をいただいた。海外移住後はキャリアチェンジによる収入の減少、永住権取得のための想定外の困難さ、こども(3人)の年代ごとのメンタルケアの大変さなど、想定外のことに戸惑うことが多かったことも分かった。特に夫婦ともに精神的ショックが大きかったこととして、移住前には不安視していなかった子供の心身両面への影響が大きく深刻な状態になったことなど、想定外の問題への戸惑いが挙げられた。今年度は福島県在住者ではない方を対象とした。そのため客観的に見ると移住の必要性がないと指摘されることも多々あったようであり、その指摘への不満も強く見られた。 前年度までに行ってきた福島在住者(元在住者含む)群両群を比較すると、福島在住者は元の生活に戻れない悔しさを吐露するケースが多く、福島以外の他県から移住した群は想定外の問題に対応することの困難さに対する発言が多く見られた。 これらの面談結果から、原子力利用に対する人々の心境が大変複雑であり、包括的に考えるためには家族構成や出身地、事故発生中心地からの物理的距離だけでなく、想定外のリスクを事前に共有し、そのうえで意思決定を行えるようにすることの重要性が示唆された
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