2017 Fiscal Year Research-status Report
幼児の姿勢と運動技能の拙劣さを客観的評価に基づいて改善する保育方法の開発
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16K01883
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Research Institution | Wayo Women's University |
Principal Investigator |
前田 泰弘 和洋女子大学, 人文社会科学系, 教授 (10337206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立元 真 宮崎大学, 大学院教育学研究科, 教授 (50279965)
小笠原 明子 白梅学園短期大学, 保育科, 講師(移行) (50734117)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 気になる幼児 / 姿勢と動き / 不器用さ / 発達障害 / 保育 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度の研究では、保育所や幼稚園で保育者が気になる幼児は、その年齢にかかわらず気持ちや身体のコントロールの難しさ、多動性、衝動性といったいわゆるセルフコントロールの拙劣さが注目される傾向があることが分かった。このことから、気になる幼児の生活の質の向上のためには、セルフコントロールの力を高めることが大切であり、従来の研究成果から特に姿勢や動きを作ること(動きづくり)の大切さが示唆された。 平成29年度は、そのような動きづくりを計画・実践するために、幼児が見せる気になる行動と運動技能(動き)の拙劣さの関連性を調べた。A県の私立保育園(3園)に在籍する2歳児から5歳児(218名)を対象とし、身体コントロール、感情コントロールの拙劣さが背景にあると考えられる気になる行動(たとえば、前者では「転びやすい」後者では「気が散りやすい」など)それぞれ6項目の発現の様子と、保育の中で行う運動技能の達成度(拙劣さ)の相関性を分析した。その結果、すべての年齢で感情コントロールの拙劣さと運動技能の拙劣さには、有意な相関性が見られなかった。このことから、感情コントロールの拙劣さを背景とした気になる行動を示す子どもは、必ずしも運動技能の拙劣さを示すものではないことが分かった。このことは、身体コントロールの拙劣さを示す子どもに対しては、運動あそび等の動きづくりを通してその改善・向上を図ることができるのに対して、感情コントロールの拙劣さを背景とした気になる行動を示す子どもに対しては、その改善・向上のために他のアプローチを検討できることを指摘するものであると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の計画は、気になる幼児の姿勢の保持や基礎運動技能の拙劣さの状況を調査し、基礎運動技能間の拙劣さの関連性や身体感覚の偏りとの関連性を明らかにすることであった。昨年度よりこの一部を先行して行うことができた経緯もあり、本年度の研究成果も加えて、この計画については概ね達成することができたと考えられた。 一方で、研究実績の概要にも示したように、本研究課題を進めていく中で、気になる行動を示す幼児の中には必ずしも身体コントロールの拙劣さを伴わないケースがあることが明らかになった。従来の研究は、姿勢や運動技能すなわち身体のコントロールが拙劣であることが幼児の感情コントロールの拙劣さにも影響を与えていることを示唆しており、本課題もそれを中心的な仮説として進めていた。したがって、本研究目的の達成に向けて対象児を身体ならびに感情コントロールの拙劣さの有無により分類し、それぞれに応じた援助(姿勢づくり、動きづくり)を検討する必要があると考えられた。現状は取り急ぎ、身体および感情コントロールの様子(拙劣さ)と運動技能の拙劣さについて関連性を調べる調査を進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
進捗状況にも示したように、本年度の研究成果と課題を踏まえ、幼児を身体コントロールと感情コントロールの拙劣さから分類し検討を進める。この分類結果は、姿勢や動きが技能として拙劣であるのか、あるいは技能としては持っているものの、何らか(特に感情コントロールの拙劣さ)の原因からその再現が困難なのかということを示すものと考えられるが、この違いは保育の中で動きや姿勢向上の援助を行う上で、異なったアプローチになることは想像に難くない。 このことを検討するため、幼児の分類に引き続き、それぞれのグループについて運動技能(保育の中で向上を意図して行われる運動あそびや動きづくりに含まれる動き)の拙劣さとの関連性を検討する。ここで拙劣さが見られた動きについて、その背景を検討し、改善・向上の方略を検討する。特にその背景の検討や動きや姿勢の構成要素を分析する際には、申請者らが従来の分析でも使用してきた身体感覚(五感・体性感覚)の視点を取り入れることも計画している。このように、動きあるいはその構成要素として身体感覚が整理されることで、それらの動きや身体感覚の改善・向上を保育のねらいと具体的に位置付けられるためにである。これを保育者の力量や経験に依らず可能にするためには、それらの動きや身体感覚を含む保育活動(特に動き・姿勢づくりに関連する活動)と整合させる必要もあり、今年度後半では実際に保育で行われている活動の調査とそれとの整合に関する研究も行う予定である。これらをまとめ、幼児の姿勢と運動技能の拙劣さを客観的評価に基づいて改善する保育方法を体系化していく。
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