2016 Fiscal Year Research-status Report
幼児におけるリズミカルな協応動作の発達~マルチタスク動作に着目して
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16K01884
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐々木 玲子 慶應義塾大学, 体育研究所(日吉), 教授 (80178673)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 動作発達 / 幼児 / 調整力 / 運動遊び |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、幼児の日常活動や運動遊びなどにもみられる複合課題動作(マルチタスク動作)に着目し、調整力系動作の習熟度、年齢的変化を明らかにすること、およびそれらの動作メカニズムとその発達特性を動作分析手法を用いて明らかにすることを目的としている。初年度の平成28年度は、対象とする動作(リズミカルな複合的動作)を選定し、質的評価観点を用いた観察評価により幼児の動作習熟度の現状を把握することを中心に行った。これまでに収集した調整力系の動作映像データの観察評価ならびに他の先行研究等をあわせて検討し、対象とする動作としてケンケンパ跳び動作(跳躍による前進を主体にした片足、両足の組み合わせ動作)を選んだ。今年度は,1園の保育施設において、選定した動作を用いた課題動作(ケンケンパ跳び)のVTR撮影を行い観察データを収集した。ここまでに収録した動作映像の観察的評価による結果から、幼児における動作の習熟度を大まかにまとめたところ、ケンケンパ跳び動作は4歳から6歳にかけて顕著な発達的変化がみられ、また女児は男児に比べて習熟度が高い傾向にあることがわかった。なお、現在も取得データについては引き続き分析中である。これらの結果については関連学会等において逐次発表していく予定である。また、フィールドでの観察研究と並行して行う実験室での動作分析を計画しているが、それについては機器、実験協力者等、現在準備を整えつつある状態である。 次年度の平成29年度にはさらにいくつかの保育現場において同様の収集データを追加する予定でり、実験室研究については予備実験を早々に実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究期間1年目の本年度は、調整力系動作の幼児期の発達特性について先行研究をレビュ-し、それを踏まえて本研究での観察・測定のための対象動作の選定を中心課題とした。また、一部保育現場(フィールド)での観察的評価による調査を実施し、その分析を行っている。しかしながら、実験室における動作分析研究については、予定どおりの十分な予備実験はできていない。したがって全体としては計画に対して、進行が若干遅れている状態であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
保育現場での観察的研究については、これまでと同様の方法で対象園を増やし、データの蓄積を重ね、更なる分析を行い、幼児の加齢に伴う動作変容から発達傾向を明らかにしていく。 一方、実験室的研究については、早急に予備実験を行いデータを検討し、4~6歳男女児を対象とした実験を行い動作分析研究へと進展させる。動作の周期性、四肢の協応性等、調整力系の複合的動作を特徴づける指標に着目して動作メカニズムの特徴を明らかにするための分析を行う。 これらの結果について、関連学会での発表、関連学術誌への投稿等を行い、公表していく。
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Causes of Carryover |
本年度は、保育現場での測定に際して予定の人件費を必要としなかったこと、および測定データの分析、資料整理が予定より遅れ、年度内に補助者を依頼する必要がなかったため,人件費が発生せず当初の支出計画とは差が生じた。その分が次年度にずれ込んでの実施となるため、分析、資料整理等に対して本年度の計画と同等の使用(人件費)が発生する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度実施予定であった内容の次年度実施に伴う経費(主に測定データの分析、資料等の整理に対する人件費(謝金、交通費も含む))として使用する予定である。
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Research Products
(4 results)