2016 Fiscal Year Research-status Report
乳幼児視点の家庭内事故防止―装着型視線計測装置によるアプローチ
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16K01892
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
渡部 基信 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (30649306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏原 考爾 徳島大学, 大学院理工学研究部, 准教授 (40463202)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 乳幼児 / 視線計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.乳児に装着するための小型カメラ装置を開発した。過去の文献中の装置は巨大でコードが繋がっており、子供の活動は制約される。家庭内での使用を可能するためにはワイヤレスの装置が必要である。そのため極力小型、軽量なカメラの開発を目指し、5mm×5mm大の小型カメラの実用化を進めた。乳児に直接カメラを接着させた場合の安全性について検討し、カメラの先端部分が高温になることが想定された。そこで、このカメラを乳児の帽子に装着し、乳児の負担なくかつ安全に視線計測できるようにした。 2.乳児の行動範囲を計測する装置の開発した。位置計測のためにリアルタイム位置情報システムを当初使用する予定であったが、計測の精度や費用の面から現実的に困難であることがわかった。共同研究者によって、カメラ映像から、ある人物に焦点を当てて人物の行動軌跡を追跡するシステムを開発出来た。天井からのカメラの映像を使って、乳児の行動範囲を知ることが出来る。この装置により、計画当初のシステムより精度が高くしかも、研究費で十分現実可能になった。 3.実験室にリビングルームを再現。研究計画通り、実験室にリビングルームを再現し、その空間で一緒過ごす間の二人の視線計測を行う予定である。研究初年である今年度は、研究室内でのスペースを確保し、パーテションにより実際の家庭内と同様のリビングダイニング6m×3m(12~13畳)を作った。さらに、この部屋はフローリング様式のマットを敷き、可能な限り乳児が研究室と意識しないような空間造りを行った。 4.リビングルーム内をより家庭内に近い状態にするため、家具、あるいはテレビなどの設備についても検討を行い、次年度には購入予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画初年度である本年は、研究設備や装置の開発を主に進めた。 1.小型カメラについては、重く乳児が装着を嫌がる装置では、日常生活の観察には適さない。そのため、小型、軽量化を第1にカメラの開発を行った。難題ではあったが、その問題についてはこのカメラで解決できる見込みがたった。 2.研究計画になっていた乳児の行動範囲を計測するリアルタイム位置情報システムが、上記のように実現が難しい状況にあった。が、カメラ映像から、人物の行動を追跡する方法に変更することにより、計画を頓挫することなく進めることができた。 3.研究室のスペース確保も困難な問題であったが、研究センター内に実験のための部屋を確保出来た。そこを家庭内のリビングルームに近い空間に変えた。今後は家具を購入する予定で、より一般家庭に近い環境で研究出来る見通しが立った。 以上のように、研究は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
1.実際に開発した小型カメラ計測装置を乳児に装着してみる。まず、参加する乳幼児に予め視線装置に慣れていただく必要がある。そのために、装置に慣れるための準備期間を十分とらなければならないと考えている。 2.研究室内リビングの完成。家具を購入し実際の家庭内と出来るだけ似せた環境にする。さらに、天井に行動を観察するためのテレビカメラの設置をする。 3.実験室内で、母子の視線計測を行い両者の違いを調べる。実験室にリビングルームを再現し、その空間で一緒過ごす間の二人の視線計測を行う。母児の視野の高さや広さの違い、注視する事物の違い、死角となる領域の違いを調べる。 4.天井のカメラの映像から、乳児の行動範囲を調べる。
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Causes of Carryover |
位置計測のためにリアルタイム位置情報システムを当初使用する予定であったが、計測の精度や費用の面から現実的に困難であることがわかった。そのためリアルタイム位置情報システムの購入のための費用約150万円を初年度に使用しなかった。カメラ映像から、ある人物に焦点を当てて人物の行動軌跡を追跡するシステムを開発した。この装置により、計画当初のシステムより精度が高くしかも、研究費で十分現実可能になった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
位置情報システムのかわりに天井から俯瞰した映像をとるためのカメラが必要である。それをまず購入する。さらに家庭内を再現した研究室を設定するための、家具や電化製品の購入も予定している。今回の研究は、研究室のみならず、家庭訪問も行い乳児の視線計測を行うそのため、乳幼児に慣れた調査員が必要である。また実験結果として膨大な映像データが得られるため、そのデータの管理・分析のための人員も必要である。研究補助員のための人件費として繰り越しした研究費を充てる。
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Research Products
(3 results)