2017 Fiscal Year Research-status Report
児童・生徒の心身の不調および多日数欠席の抑制に関わる体力・身体活動量の縦断的検討
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16K01895
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
長野 真弓 福岡女子大学, 国際文理学部, 教授 (10237547)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 稔 岡山大学, 教育学研究科, 教授 (70271054)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 体力・身体活動 / 多日数欠席 / 生活習慣 / メンタルヘルス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、児童・生徒約900名における心理的特性の問題および多日数欠席・遅刻に、体力・身体活動がいかに関連するか、社会経済的因子・ソーシャルサポート・他の生活習慣も考慮して検討する。さらに、複数の関連因子がある場合、それらの相互関連性を調べることで、心理的特性の問題や欠席日数が増える(減る)メカニズムを明らかにすることを課題としている。今年度は、計画どおり地方都市郊外の公立小学校1校および国立大学附属中学校1おける調査を実施し、ベースラインデータの解析に加え、縦断データのチェックおよびクリーニングを行った。年度末には、調査対象校に赴き、年度集計結果を報告した。さらに、横断データおよび縦断データの一部を査読つき原著論文および学会発表として公表した。 現時点での成果の概要は以下のとおりである。 1)中学生においては、男児で児童期のスポーツ経験やベースライン時の体力が後年のうつ症状発生と関連していた(学会公表済み)。一方、女子では欠席日数と関連していた(翌年度に公表予定)。 2)児童においては、調査時点での親の運動習慣の有無や 他の関連因子を調整しても、両親とも運動好き、いずれか一方の親が運動好き、両親とも運動嫌いの順に子どもの体力レベルは高かった(原著論文として公表済み)。さらに、5年時点での高い心理的ストレスに3年時の長いスクリーンタイム、遅い就寝時刻、朝食欠食、低体力遅刻、欠席が関連していた(学会公表済み)。 今年度で中学生600名の3年間の縦断データ収集が終了した。児童の調査は、管理職より次年度の継続調査の承諾を得ており、可能な限り調査を続行する。 以上、研究初年度の実施状況は概ね良好といえる。研究期間最終年度である次年度は、児童・生徒両方の縦断データの成果を学会発表および原著論文で公表するとともに、調査対象校の教育方針の根拠となるエビデンスを提供する形でサポートを継続する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査対象校とは、当該課題以前から十分にコミュニケーションが取れており、調査の遂行には多大なご協力をいただいている。また 、収集したデータを学校にフィードバックし、学校の教育方針への助言という形でサポートを継続している。 中学生の縦断調査は今年度で完了し、現在データクリーニング作業を進めている。児童については、次年度の調査の承諾のみならず、それ以降の調査も可能な限り継続してほしいとの依頼をいただいている。今年度は、学会推薦論文(原著)を公表し、当該課題と関連する研究発表も5件行った。次年度の成果の公表作業も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は研究期間の最終年度であるため、収集した縦断データのクリーニングを早急に進め、論文執筆(英文・和文)に注力する。それと並行して、国内外での学会発表(現時点で国外1件、国内1件エントリー済み)に注力する。論文は、英文児童の調査は研究期間以後の継続する可能性が高いため、今年度の成果をもとに、来年度の研究費申請に向け、新たな研究課題を創出したい。 調査実務面においても、引き続き調査対象校と連携して滞りなく準備を進める。さらに、研究の質を高めることができる新たな調査指標(学力関連指標、ポジティブな心理的特性の尺度開発)の追加と並行して、新たな研究フィールドの開拓も継続し、より大規模集団で質の高い調査が可能になるよう努めたい。
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Causes of Carryover |
物品費および旅費は、ほぼ当初の執行計画どおりの支出であったが、謝金については他の財源で全額を賄えたたため、本財源からの支出はなかった。さらに、当初の計画より学会参加や研究ミーティングが多かったことから、参加費や会議費の支出が予定より多かった。それらを総じて17万円程度の残額が生じた。次年度は論文の公表に伴う英文校正料や投稿料、国外での学会発表が予定されているため、残額をそれにかかる費用として執行する予定である。
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Research Products
(7 results)