2016 Fiscal Year Research-status Report
沖縄における子育て環境の貧困化対策としての産官学連携子育て支援策のパッケージング
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16K01903
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Research Institution | Okinawa Women's Junior College |
Principal Investigator |
柳生 崇志 沖縄女子短期大学, その他部局等, 准教授 (70381712)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 祐一 沖縄女子短期大学, その他部局等, 講師 (80751221)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 子育て支援 / 貧困化 / 沖縄 / 産官学連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,「子育て環境の貧困化」が懸念される沖縄地域において産官学連携による子育て・教育支援の有効性を検証し,統合的な子育て支援モデルを創成することである。 3年間の研究期間の初年度にあたる平成28年度は,子育て支援に関する基礎的データの収集を目的とした実態調査や先行事例研究を主に実施した。また産官学連携の子育て支援策の有効性検証の観点から,大学(沖縄女子短期大学)と大学所在地の自治体(与那原町)を中心とした本研究テーマに関連した事業を推進しながら分析・修正を図るアクション・リサーチの手法を取り入れた。例えば,児童館における大学生による学習支援,地域における子ども見守り事業,空き店舗活用による「若者の居場所づくり」の検討,幼稚園における生活リズム向上のための取り組み評価,大学キャンパスを利用した子ども対象のプログラミング教室などの実践を通して聞き取り調査などを行なった。 このように,産官学連携の子育て支援を,幼児・児童の福祉分野のみならず幼児教育・学校教育・社会教育などの諸側面から総合的にとらえることにより,地域に根ざした支援策のモデル作りの土台となる特徴や課題を抽出した。例えば,「子育て環境の貧困化」の一つの側面としての情報格差の問題についての分析からは,家庭の経済的事情によるデジタルデバイスの所持可能性の低下が子どもの教育環境や教育機会に制限を生み出したり,子育て支援に関する情報入手が困難だったりというリスクが高まる一方で,産官学連携の事業によりそれらのリスクが大きく軽減される可能性が示唆された。情報格差を解消しながら,さらなる施策としての産官学連携のキャリア教育を積極的に展開することができれば「子育て環境の貧困化」の連鎖や世代間伝播を断ち切るための有効な方策として期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
沖縄の地域特性を考慮した子育て支援の統合的モデルを構築するため,研究初年度は広い視野から予備的調査を行う段階として各種調査を行った。子育て支援に関する事業を展開する産官学の担当者を対象とした聞き取り調査や,実際に子育て支援事業に携わりながら行うアクション・リサーチを通して,地域の子育て支援策のニーズと課題が明らかになってきた。しかし,支援策に対する量的な評価・分析については不十分であり研究2年目以降の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究初年度で取り組んできた子育て支援策関連のさまざまな側面へのアクション・リサーチやアンケート調査,聞き取り調査などを引き続き行う。その後,統合的な子育て支援モデルを提示し,その枠組みの実行可能性及び地域の子育て環境の貧困化の解消に及ぼす効果を検証するというように,おおむね当初の研究計画に従って進行する予定である。
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Causes of Carryover |
申請額と内定額の差を考えて,物品費と旅費については研究の進捗状況に合わせて必要となるであろう物品費や旅費交通費の支出を見据えながら慎重に検討し使用した。とくに旅費の執行についてはは,沖縄を拠点とした国内各地への出張でありながら,航空会社のパックツアーを利用するなどして単価が安くなったことも理由の一つである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主に聞き取り調査時に使用するカメラ・ビデオカメラ・ICレコーダ及びそれらの周辺機器,また調査データを整理分析するためのパソコン及びその周辺機器などの物品購入を速やかに実行する。また旅費交通費に関しては,初年度執行のなかった海外調査の計画があることから,初年度から繰り越された助成金も合わせて有効に活用して行きたい。
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