2016 Fiscal Year Research-status Report
子どもの犯罪被害の前兆的事案調査法の開発と妥当性評価
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16K01906
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
原田 豊 科学警察研究所, 犯罪行動科学部, 特任研究官 (10356206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 知範 科学警察研究所, 犯罪行動科学部, 主任研究官 (10392268)
冨尾 淳 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 講師 (10569510)
雨宮 護 筑波大学, システム情報系, 准教授 (60601383)
今井 修 東京大学, 空間情報科学研究センター, 客員研究員 (80401305)
山根 由子 科学警察研究所, 犯罪行動科学部, 研究員 (80721175)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 子どもの被害 / 前兆的事案 / 危険なできごとカルテ / QRコード |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、先行研究で開発した「危険なできごとカルテ」のプロトタイプをもとに、前兆事案調査票の回答および地図上に示された事案発生地点の、スキャナによる自動認識の精度向上をはかるため、(1)業務用のDTPソフトウェアによる「カルテ」原稿の作成、(2)標準様式画像による「カルテ」および地図の読み取り領域指定、(3)WebGISサイトへの帳票印刷機能の試験実装などの改良を行った。 この改良版の帳票を用いて、文部科学省の「防災教育を中心とした実践的安全教育モデル事業」のモデル校である小学校1校の第4学年の児童95人を対象として、平成28年9月に調査を実施した。その結果、7種類の前兆的事案のいずれかを小学校入学から調査時点までに経験したことのある児童は19人(対象者総数の20%)であり、経験された事案数は21件(対象者総数の22%)であった。また、事案発生地点を赤丸シールの貼付により示したA3判の地図からスキャナに読み込んだ画像により、事案発生地点の世界測地系による緯度経度座標を自動認識してCSV形式で出力できることが確認された。 以上の平成28年度の帳票改良・小学校での調査を通して、従来の調査キット・調査実施手順に新たな改善を加えることができ、誤回答の発生などを大幅に減らすことに成功した。また、基準様式画像と実際のスキャン画像との比較などに基づき、OMR読み取り領域の調整を自動化できる見通しが得られた。その一方で、スキャン画像の自動認識ソフトウェアに地図上のシール貼付位置認識機能の不具合が存在することも判明し、現在、この機能の改良作業を実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度に予定していた前兆事案調査用帳票の改良作業および小学校での調査を予定どおり実施し、調査キット・調査実施手順に新たな改善を加えることができ、誤回答の発生などを大幅に減らすことに成功した。また、この調査を通じて、スキャン画像の自動認識ソフトウェアに地図上のシール貼付位置認識機能の不具合が存在することが判明し、この機能の改良作業に着手することができた。事案の空間集積性の分析法に関しても、主として既存研究の文献調査による基礎的検討を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、初年度に実施した前兆事案調査用帳票の改良をさらに進めるとともに、事案の時空間集積性に関する検討および事案の危険性評価手法の検討を行い、前兆的事案の「脅威評価」(threat assessment) の手法に立脚し、初年度に開発した「QRコード付き危険なできごとカルテ」による調査で得られる回答などを分析素材として、危険性の高い事案の類型について探索的に検討する。それによる知見を、事案の時空間集積性の分析から得られる知見と統合し、前兆的事案の危険性評価のための指標を構築して、学校教育現場などでの試験運用の準備を進め、本研究で開発した諸手法の妥当性の評価を実施する。
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Causes of Carryover |
研究補助員による資料整理・データ入力などの作業を平成28年度は行わなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度の研究補助員による資料整理・データ入力の経費、ならびに危険性評価ツール開発・研究成果発表に要する経費に充当する。
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Research Products
(6 results)