2017 Fiscal Year Research-status Report
子どもの犯罪被害の前兆的事案調査法の開発と妥当性評価
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16K01906
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
原田 豊 科学警察研究所, 犯罪行動科学部, 特任研究官 (10356206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 知範 科学警察研究所, 犯罪行動科学部, 主任研究官 (10392268)
冨尾 淳 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 講師 (10569510)
雨宮 護 筑波大学, システム情報系, 准教授 (60601383)
今井 修 東京大学, 学内共同利用施設等, その他 (80401305)
山根 由子 科学警察研究所, 犯罪行動科学部, 研究員 (80721175)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 子どもの被害 / 前兆的事案 / 危険なできごとカルテ / QRコード |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、前年度に改良を加えたQRコード対応「危険なできごとカルテ」および回答用地図を用いて、文部科学省の「防災教育を中心とした実践的安全教育モデル事業」の平成29年度のモデル校となった小学校1校において、第4学年から第6学年に在籍する児童全員(6学級:163人)を対象として、平成29年7月に調査を実施した。その結果、7種類の前兆的事案を小学校入学から調査時点までに経験したことのある児童は26人(対象者総数の16%)であり、経験された事案数は32件(対象者総数の20%)であることが判明した。 また、これらの事案に遭遇した際の児童自身の対応については、「なにもしなかった・できなかった」が37%、「大声で助けを呼んだ」「防犯ブザーやベルを鳴らした」がゼロであるなど、従来の調査と同様、児童自身による対処に限界があることが明らかになった。一方で、これらの事案の経験を「今回初めて知った」「誰にも連絡・相談しなかった」と回答した保護者の割合は約4%であり、従来の調査結果と比べて大幅に低いことも判明した。 並行して、前年度に判明したスキャン画像の自動認識ソフトウェアの不具合の改良を行い、改良したソフトウェアで本年度の回答用地図の認識を実行した結果、地図上のシール貼付位置が正しく世界測地系で出力されることを確認した。WebGISサイトに試験実装した帳票印刷機能についても、基本的な動作確認を行うとともに、これにより印刷した帳票の自動認識ソフトウェアによる読み取り精度の検討に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度に改良を加えた前兆的事案調査票および回答用地図を用いて、平成29年度の小学校での調査を予定どおり実施し、改良版の調査キット・調査実施手順が本年度の調査実施校でも計画どおりに運用できることを確認した。あわせて、WebGISサイトに試験実装したQRコード付き「危険なできごとカルテ」の印刷機能を用いて、これにより印刷した「カルテ」の自動認識の精度検証に着手することができた。事案の空間集積性の分析法・事案の危険性の評価手法についても、引き続き検討を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、改良版の前兆的事案調査用帳票の自動認識ソフトウェアによる読み取り精度の検証およびそれを踏まえた改良をさらに進め、学校現場などの多様なプリンタ・スキャナなどに対応可能な帳票印刷・読み取り技術を開発する。あわせて、危険性の高い事案の類型などに関する検討を進め、事案の時空間集積性の検討結果と統合して、前兆的事案の危険性評価の指標の構築・学校教育現場での試験運用などによる妥当性評価を実施する。
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Causes of Carryover |
(理由) 研究補助員による資料整理・データ入力などの作業を平成29年度は行わなかったため。 (使用計画) 平成30年度の研究補助員による資料整理・データ入力の経費、ならびに危険性評価ツール開発・研究成果発表に関する経費に充当する。
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