2016 Fiscal Year Research-status Report
DNAグアニン四重鎖構造体を分子認識素子として利用したプロテインチップの創製研究
Project/Area Number |
16K01910
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
萩原 正規 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (40403000)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | グアニン四重鎖 / 分子センサー |
Outline of Annual Research Achievements |
「プロテインチップ適合型グアニン四重鎖構造体核酸ライブラリーの創製」 タンパク質と様々な結合特性(選択性、親和性)を示すグアニン四重鎖核酸構造体を作製するために必要な、多様な構造、配列のグアニン四重鎖構造体ライブラリー構築法を確立する。本研究提案では、チップにおける分子素子の化学的安定性を考慮しDNA型の分子素子設計のために以下の2つのアプローチ、(1)ランダムな塩基配列を作成するコンピューターアルゴリズムを用いて、一定のグアニン塩基含有量を設定したDNA配列をランダムに設計する。あるいは(2)グアニン四重鎖構造形成に必要な、グアニンが3個連続した5'-GGG-3'ブロック配列を塩基配列設計に組み込み配列を設計する、を計画した。 特定の塩基のみから形成されるトロンビン結合性DNAアプタマー(5'-GGTTGGTGTGGTTGG-3')が、グアニン四重鎖構造を形成し、高い親和性で標的分子に結合するという報告に基づいて、本年度は30塩基長からなる(70%グアニン塩基、残り30%をチミン塩基)核酸をランダムな配列を生成するアルゴリズムを用いて設計した。設計したDNAを化学合成しグアニン四重鎖形成能を、UV融解曲線解析、円偏光二色性分析等により評価した。設計したグアニン塩基に富むDNAは295 nmにおける紫外可視光吸収スペクトル変化、およびグアニン四重鎖に特徴的円偏光二色性スペクトルからカリウム塩存在条件下グアニン四重鎖構造を形成していることがわかった。本研究成果は、コンピューターアルゴリズムを用いた簡便な手法により多数の分子センサーが構築できる可能性を示すものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DNAの分子設計等、当初計画した内容はおおむね遂行できたと考えているが、本研究の内定通知が10月、研究費の使用が12月中旬からであったため当初の年次計画よりは若干であるが遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
「グアニン四重鎖構造体DNAライブラリーのタンパク質結合能評価」 本年度結果により得られた知見をもとに作成した四重鎖型素子ライブラリーと対象分子との結合能を、表面プラズモン共鳴分光(SPR)を利用した相互作用解析法により評価する。SPRチップ上に固定したDNA素子単体あるいは素子ライブラリーと、解析対象とするタンパク質との相互作用様式を、結合に伴うSPR変化を指標に解析する。SPRチップ上へのDNA素子の固定は、ビオチン-アビジンの特異的な分子間相互作用、あるいは基板上に固定化したDNAオリゴマーとの相補的な二重鎖形成、を利用する。DNA素子とタンパク質との相互作用解析結果に基づいて、DNA素子の塩基長、塩基組成検討にフィードバックする。期待通りの分子センサーとしての活性がグアニン、チミン塩基のみからなるDNAでは達成できなかった場合は、チミンだけではなく他のアデニン、シトシン塩基も含めた配列ライブラリーを構築し、本年度同様グアニン四重鎖形成活性を多様な手法で解析したのち、センサー活性を評価していきたい。個別のDNA素子の評価結合ではDNA素子の評価が十分には行えないと判断した場合には、次年度以降に計画しているセンサーアレイによる評価へと移行する。
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Causes of Carryover |
本申請は内定通知が2016年10月であったため、当初計画していた予定とは大きく変更が生じた。また、センサーの評価としては全く異なる2つのアプローチを考えていたが、実際には一方しか行う時間的な余裕しかなかった。そのため消耗品の使用に計上した予算が使用できなかった。予算配分後は研究使用機器等の打ち合わせのために出張し、次年度以降の計画が問題なく行えることを確認した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初計画していた予算計画が実施時期の問題で達成できなかったが本研究を行う上での本質的な問題ではないため、来年度は持ち越した予算を有用に利用していきたい。そのためにも研究のスピードアップを意識していきたい。
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Research Products
(1 results)