2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K01919
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
鵜飼 和代 東北医科薬科大学, 薬学部, 助教 (60433512)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ヒトデ / 自切 / 再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトデの腕の自切は、長い腕を持つヒトデに見られる生体防御機構で、腕の脱離までの時間により、'slow autotomy’ と 'quick autotomy’ に分けられる。我々は、環境の悪化や細菌感染などにより起こる ‘slow autotomy’ を引き起こす自切誘起因子を明らかとしており、この化合物を投与することで、’slow autotomy’ を誘起することができる。この化合物誘起による自切でも、その後に腕の再生を伴う。本研究では日本沿岸種のマヒトデ (Asterias amurensis) を用いて、自切後のヒトデの腕が再生する機構の解明を目指す。 これまでの研究において'slow autotomy'では、自切誘起因子のみの投与と比べて、自切に要する時間が短くなる種々の場合を観察し、いずれも再生の開始までの時間が長くなることが分かっている。逆に今回は、グルコースを用いて自切に要する時間を遅延させた上で再生までの観察を行った。しかし腕の再生開始までの時間や、再生への影響は見られなかった。この結果から、自切までに要する時間の長期化は、再生には影響しないことが示唆された。 オートファジー阻害剤を用いて観察した時、自切に要する時間が短くなり、腕の再生を開始するまでの時間が長くなった。オートファジーの阻害が腕の再生を遅延させることから、オートファジーが腕の再生に関与するものと示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度腰椎を骨折して実験できない期間があり遅延した部分があった。グルコースを用いた自切を遅延させる方法を確立したが、予備実験の際に遅延させた時間までの再現が、出来なかった。これまでの結果では、遅延した場合の再生開始までの時間が遅延していない場合とほぼ変わらないことから、再度の遅延させる実験法の検討は実施しない。
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Strategy for Future Research Activity |
自切を遅延させる方法は、遅延した場合の再生開始までの時間がしていない場合とほぼ変わらないことから、再度の遅延させる実験法の検討は実施しないで、このまま継続する。現状では再生を早めることはできないが、再生の過程の中で、完了しなければ次に進めない通過点が存在する。この通過点を早く確実に進めることができないか検討を実施する。
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Causes of Carryover |
研究初年度において、研究代表者が5月に腰椎骨折したため、実験を行うことができない時期があり、遅延した。また昨年度に検討により自切を遅延させる方法を確立したが、今年度実施したところ、昨年度ほど遅延させることができなくなっており、当初は再度遅延させる方法の検討を実施したため、進行が遅れた。 今後は自切時間の遅延は現状で実施できる状況で実施し、他の項目の実験も合わせて実施する。
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