2016 Fiscal Year Research-status Report
不良糖タンパク質分解に係る小胞体エンドマンノシダーゼの化学的解析
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16K01938
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
戸谷 希一郎 成蹊大学, 理工学部, 准教授 (80360593)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 糖鎖 / 蛋白質 / 酵素 / 有機化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
小胞体エンドマンノシダーゼ活性の本体を探索すべく、分取ゲル電気泳動装置を用い、BlueNative-PAGEで分画したフラクションについて、活性および抗Golgi-endomannosidase抗体との反応性に基づき、絞り込みを行った。候補フラクションについて、MS-MSイオンサーチにより解析したところ、驚くべきことに、脂質の加水分解を担うCarboxyesterase 1D (Ces1D)が小胞体エンドマンノシダーゼ活性の本体である可能性が高まった。またCes1Dはレクチン様分子シャペロン「カルレティキュリン」と複合体を形成している可能性を見出した。現在、合成糖鎖基質およびリコンビナントCes1Dとカルレティキュリンを用いたエンドマンノシダーゼ活性の検証に取組んでいる。 一方、本酵素に選択的に作用する糖鎖リガンド部と疎水性パッチを有する多点認識型の阻害剤開発に取り組み、その化学合成を達成するとともに、本化合物が多点認識効果によって高い阻害能と選択性を有することを明らかにした。また本阻害剤の設計には他の小胞体内グリコシダーゼに耐性をもつ工夫を施したが、目論見通り、これらのグリコシダーゼに耐性を示すことも分かった。 さらに本酵素に対する小分子基質の化学合成に取り組み、設計した化合物の合成を完了した。現在、小胞体エンドマンノシダーゼに対する反応性の検証に取組んでいる。 最後に糖鎖を2本有する第二世代基質の合成についても初期的な検討に取り組み、糖鎖をリンカーを介して2本連結したプロトタイプ化合物の合成を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小胞体エンドマンノシダーゼの活性本体の同定に成功したともに、本研究の鍵化合物となる小分子基質や阻害剤の合成を完了できたため。また阻害剤についてはその効果も検証し、選択的かつ効率的に本酵素活性の阻害が可能であることを実証ずみである。
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Strategy for Future Research Activity |
合成した阻害剤をアフィニティーカラム化し、本酵素の複合体形成の可否について検証する。また本阻害剤を蛍光標識化し、小胞体エンドマンノシダーゼの細胞内局在解析を行う。さらに合成した基質群を用いて、疾患細胞内における本酵素活性の変化を解析する。
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Causes of Carryover |
必要物品を支出後に端数が生じたが、少額のため次年度使用とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度使用額と合算し、試薬消耗品の支出に充てる。
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Research Products
(14 results)