2016 Fiscal Year Research-status Report
非天然官能基ポスト標識技術による微小マイクロ結晶構造解析法の開発と応用
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16K01942
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
別所 義隆 国立研究開発法人理化学研究所, 放射光科学総合研究センター, 客員研究員 (70242815)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2020-03-31
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Keywords | 生物・生体工学 / バイオテクノロジー / 結晶構造 / タンパク質 / tRNA / メチル基転移酵素 / 人工補酵素 / S-アデノシルメチオニン |
Outline of Annual Research Achievements |
AdoMetを補酵素とするDNAメチル基転移酵素の一部には、有機合成したAdoMet類似体から、メチル基の代わりにエチル基やプロピル基などの非天然官能基を導入する能力がある。我々は、RNAメチル基転移酵素を用いて、これらの非天然官能基の転移が、エチル基などの低分子官能基だけでなく、通常は立体障害のため転移が困難なGABAなどの比較的に分子量の大きな官能基にも適用できることを発見した。この技術は、プローブを生体高分子の特定位置に導入することを可能とする。今年度、超好熱性真正細菌Aquifex aeolicusのメチル基転移酵素TrmIを使用して、tRNA分子のT-Loopにアミノ基を含む非天然官能基を取り込ませることに成功した。非天然官能基の末端に位置するアミノ基にSulfo-NHS-Biotin試薬を反応させて、tRNA分子に結合した人工官能基の末端をビオチン化した。また、TrmIの触媒部位の立体構造を分析し、非天然官能基の長さを最適化した。アミノ基の代わりにビオチンを末端に持つAdoMet類似体もデザインし、tRNA分子に直接ビオチン基を転移させることが可能になった。それぞれ、ビオチン化されたtRNA分子は、ストレプトアビジンを使用したゲルシフトアッセイ電気泳動実験の結果から、十分な反応効率であることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超好熱性真正細菌のメチル基転移酵素の触媒部位の立体構造から、結晶化用に長さを最適化した非天然官能基を有する人工補酵素をデザインした。実際に結晶化に使用するtRNA分子に、有機合成した非天然官能基が効率よく転移されることを確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、GABAなどの安定な非天然官能基は多くのメチル基転移酵素に使用することが可能だった。今年度デザインした、結晶化用に長さが最適化された非天然官能基が、多くのメチル基転移酵素に適用できるならば、汎用的な生体分子工学に応用できる。また、大型放射光のマイクロフォーカスビームラインで、蛍光化した微小マイクロ結晶のX線回折測定技術を開発する。
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Causes of Carryover |
既存の機材や実験材料を多く使用して効率よく研究を進めた。研究課題は、計画通り進んでいる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究課題が当初の計画以上に進展するように、次年度使用額を効率よく使用する。
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