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2018 Fiscal Year Research-status Report

依存性薬物による脳白質・髄鞘の機能的変化とその機序の解明

Research Project

Project/Area Number 16K01943
Research InstitutionYamagata University

Principal Investigator

山崎 良彦  山形大学, 医学部, 准教授 (10361247)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2020-03-31
Keywordsオリゴデンドロサイト / 活動電位 / 伝導速度 / 海馬 / 依存性薬物
Outline of Annual Research Achievements

本年度では、ラット海馬の薄切標本を用いて海馬白板から複合活動電位の記録を行い、依存性薬物の急性投与による軸索興奮性の変化および活動電位同調作用の変化の可能性について検討した。複合活動電位の振幅の変化を測定し、薬物効果の指標とした。電位依存性ナトリウムチャネルに対する阻害作用をもつコカインについては、使用濃度ではホールセル記録を用いての電流注入による発火頻度に影響を与えないことを確認した。
薬物投与後35-40分での変化を調べたところ、コカインでは98.7 ± 2.4% (n = 7) と変化は認めなかったのに対し、メタンフェタミンでは108.9 ± 5.7% (n = 6)、ニコチンでは107.7 ± 3.2% (n = 10) と振幅が増大していた。さらにニコチンによる効果の機序について検討した。ニコチンによりオリゴデンドロサイトが脱分極すること、オリゴデンドロサイトの脱分極は複合活動電位の振幅を大きくすること、ニコチンにより海馬白板領域に軸索を伸ばしている介在ニューロンが持続的に発火し同領域でGABAを放出すること、オリゴデンドロサイトはGABA受容体活性化により脱分極すること、が知られているため、GABA受容体阻害薬存在下でニコチンを投与した。しかし、109.6 ± 5.8% (n = 4) とニコチンによる増大効果は阻害されなかったことから、GABAを介した効果ではないことがわかった。また、昨年度行った海馬白板でのθバースト電気刺激により同部に位置するオリゴデンドロサイトで脱分極性の変化について例数を重ね、コカイン、メタンフェタミン、ニコチンのすべてで脱分極性反応が抑制されることの再現性を確認した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究期間では、主に以下の事項について、依存性薬物の急性効果と慢性効果をそれぞれ検討していく。
1.オリゴデンドロサイトでの変化の検討
2.活動電位の軸索伝導に対する依存性薬物の急性効果
3.活動電位同調作用の変化の検討
これまで急性効果についての検討を行った。1について、研究計画で挙げているすべての薬物(コカイン、メタンフェタミン、ニコチン)についてデータを取得した。膜電位の変化が薬物によって異なっていること、神経活動への反応に対する効果はすべての薬物で共通していることがわかった。2および3ついても、3つの薬物すべてについて急性投与による検討を行い、結果を得ている。2、3の検討からは、薬物によって効果が異なっており、しかも軸索伝導の変化・同調作用の変化それぞれで異なり方も違っているという知見を得ている。データ取得・解析とも問題なく行うことができており、研究進捗状況としては、順調に進んでいると考える。

Strategy for Future Research Activity

急性効果の検討では、ほぼすべての項目についてデータが取得できているが、活動電位の軸索伝導に対する薬物の急性効果では軸索の部位によって各薬物の効果が大きく異なっているため、引き続き、さまざまな潜時(部位の違いを反映)の活動電位を記録し、軸索部位と修飾効果の大きさとの関係を検討する。また、活動電位同調作用(複合活動電位の記録による検討)に対する効果についても、それぞれ例数が10以上になるまでデータ数を増やし、さらに複合活動電位の幅や面積の変化も解析に加え、薬物の効果が真に同調作用の変化なのか、軸索興奮性に変化はないのかを調べる。ニコチンについては、喫煙者の血中濃度を模した濃度での検討と、薬理学的な検討も追加する。これらにより、得られた結果を確固たるものにする。さらに、各薬物の慢性投与による効果、特に薬物によるオリゴデンドロサイトでの電気的性質の変化、オリゴデンドロサイトが髄鞘を形成している軸索への電気刺激による脱分極性反応の変化、および軸索形成突起の長さを中心とした形態変化についても検討していく。

Causes of Carryover

2017年度末の時点で翌年度(2018年度)使用額として計上した分については、投稿していた論文が受理されたたため、その掲載料として使用した。
今回翌年度使用額として計上した分については、現在執筆中の論文について、2018年度では受理に至らず掲載料が発生しなかったため、2019年度での投稿料・掲載料として使用するため、翌年度使用額として計上することになった。
研究計画としては、実験の実施内容はF-7-1の項目8の通りであり、これに研究成果の論文投稿が加わる。

  • Research Products

    (6 results)

All 2019 2018 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (4 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] Region- and cell type-specific facilitation of synaptic function at destination synapses induced by oligodendrocyte depolarization2019

    • Author(s)
      Yamazaki Y, Abe Y, Shibata S, Shindo T, Fujii S, Ikenaka K, Tanaka KF
    • Journal Title

      The Journal of Neuroscience

      Volume: - Pages: -

    • DOI

      10.1523/JNEUROSCI.1619-18.2019

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] Depotentiation at the hippocampal CA1 synapse depends on the basal synaptic transmission2019

    • Author(s)
      Goto JI, Fujii S, Kaneko K, Fujiwara H, Yamazaki Y, Mikoshiba K
    • Organizer
      9th Federation of the Asian and Oceanian Physiological Societies
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] オリゴデンドロサイトの膜電位変化による出力先シナプス伝達に対する修飾効果2018

    • Author(s)
      山崎 良彦, 金子 健也, 藤原 浩樹, 後藤 純一, 藤井 聡
    • Organizer
      第50回東北生理談話会
  • [Presentation] 海馬CA1シナプス脱長期増強誘導のシナプス活動依存性2018

    • Author(s)
      藤井 聡, 金子 健也, 藤原 浩樹, 後藤 純一, 山崎 良彦
    • Organizer
      第50回東北生理談話会
  • [Presentation] IP3 receptor binding protein released with IP3(IRBIT)欠損マウスを用いた学習行動解析2018

    • Author(s)
      藤原 浩樹, 山崎 良彦, 後藤 純一, 金子 健也, 藤井 聡
    • Organizer
      第35回山形形態機能研究会
  • [Remarks] 山形大学医学部生理学講座ホームページ

    • URL

      http://www.id.yamagata-u.ac.jp/PhysiologyII/Physiol2-J.html

URL: 

Published: 2019-12-27  

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