2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K01946
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
高雄 啓三 富山大学, 研究推進機構 研究推進総合支援センター, 教授 (80420397)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 行動解析 / 統合失調症 / 歯状回 / バイオインフォマティクス / 光遺伝学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、精神疾患を恒常性維持機構の破綻としてとらえ、精神疾患の動物モデルおよびバイオインフォマティクス的手法を活用し、精神疾患の中間表現型候補である非成熟歯状回の分子メカニズムの解明、さらにその治療法として成熟度を正常化させる手法の開発を行うことを目的として研究を実施した。 本年度は新たな精神疾患モデルマウスの開発に向けて、ゲノム編集技術による遺伝子欠損マウス系統の作出を行った。前年度にバイオインフォマティクス的な解析を行うことで、欠損させたときに精神疾患モデルマウスの海馬歯状回と類似した遺伝子発現変化をもたらしうるような遺伝子の候補をいくつか選定した。本年度はそれらの遺伝子のうちの複数の遺伝子について、ゲノム編集技術を用いて欠損マウスの作出を行った。マウス作出では、神経科学研究で最も一般的に使われているC57BL/6Jの受精卵を用いてゲノム編集による目的遺伝子の欠損を試み、産まれてきたマウスに対してゲノム配列を確認したところ、目的遺伝子に変異が導入された系統を複数ライン確立できたことが分かった。得られたマウスの配列情報から遺伝子欠損になっていそうな個体を選抜し、野生型のC57BL/6Jマウスと交配し、ヘテロ欠損マウスを得ている。来年度はこれらのマウスを用いてヘテロ欠損マウスを増やし、さらにヘテロ欠損同士の掛け合わせによりホモ欠損マウスと野生型リターメートを得て、行動表現型および海馬歯状回の成熟度を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度実施したバイオインフォマティクス的解析で、非成熟歯状回をもたらし、また統合失調症様の遺伝子発現を引き起こす鍵となりうる遺伝子を複数同定した。本年度は予定通りこれらのうち複数について遺伝子欠損マウスの作出を行った。これらのマウスの解析については来年度以降に成果が期待できる。本研究は現在のところおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度にゲノム編集技術によって遺伝子欠損マウス作成したが、今後はそのマウスについて行動や歯状回神経細胞の成熟度がどう変化するのかを解析する。これらの遺伝子改変マウスでも統合失調症の行動異常や遺伝子発現変化等が見られるのであればそれらの遺伝子は恒常性維持の要となりうる遺伝子であり、治療法のターゲットとなる可能性もある。
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Causes of Carryover |
(理由) 本年度は遺伝子欠損マウスをゲノム編集技術により複数作製したが、ノックアウトの系統が多数確認できればそれぞれで大規模な交配を行い、次年度に予定されていた実験の一部を行う可能性があった。そのためマウスの繁殖飼育にかかる費用について余裕を持って計上していた。研究の進展は当初の予定通り進んでおり、年度中に大規模な繁殖は行わくなっため、そのために計上していた予算は次年度に使用することとなった。 (使用計画) 本年度予算の次年度使用額については、次年度の予算と合わせてマウスの大規模な繁殖にもちいる消耗品に用いる。
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[Presentation] CDKL5 controls postsynaptic localization of GluN2B-containing NMDA receptors in the hippocampus, and regulates seizure susceptibility, as well as emotional behaviors and memory2017
Author(s)
Tanaka T, Okuda K, Kobayashi S, Fukaya M, Takao K, Watanabe A, Murakami T, Hagiwara M, Komano- Inoue S, Manabe H, Yamaguchi M, Sakagami H, Miyakawa T, Mizuguchi M, Manabe T
Organizer
47th Annual meeting of Society for Neuroscience
Int'l Joint Research
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[Presentation] West 症候群・Rett 症候群の原因遺伝子CDKL5の相互作用蛋白探索とloss-of -function 解析による統合的機能解明2017
Author(s)
田中輝幸, 奥田耕助, 小林静香, 村上拓冬, 深谷昌弘, 高雄啓三, 渡邊 紀, 萩原 舞, 阪上洋行, 水口 雅, 宮川 剛, 真鍋俊也
Organizer
第40回日本神経科学大会
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[Presentation] オーファン代謝型受容体 Prrt 3の大脳特異的ノックアウトマウスの行動解析、およびそのリガンド同定に向けた小分子ライブラリーのスクリーニング2017
Author(s)
陳 以珊, 山本友美, 周 麗, 夏目里恵, 今野幸太郎, 上杉志成, 渡辺雅彦, 高雄啓三, 宮川 剛, 崎村健司, 久保義弘
Organizer
第40回日本神経科学大会
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