2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K01953
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
橋本 龍一郎 首都大学東京, 人文科学研究科, 准教授 (00585838)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
保前 文高 首都大学東京, 人文科学研究科, 准教授 (20533417)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | 吃音 / 発話 / 流暢性 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経発達障害の非流暢性発話のメカニズムの解明のため、本年度は成人吃音症当事者を対象として、遅延聴覚フィードバック中の発話の変化を検討した。遅延聴覚フィードバックは、非吃音者に対しては発話を非流暢化し、吃音社には発話を流暢化させる効果があることが報告されており、遅延聴覚フィードバックによる吃音症状の治療が期待されている。しかし、その神経メカニズムは不明であり、また発話流暢化の効果も吃音者のなかで個人差があることが知られており、これらを実証的に検討することが吃音における非流調性発話の神経メカニズムの解明、および異種性の解明につながると考えられた。本年度では、その最初のステップとして、吃音症状の程度によって、遅延聴覚フィードバックの効果が異なる可能性を検証することを考えた。この仮説を検証するため、言語聴覚士が吃音検査法を用いて、各被験者について吃音症状の程度を評価した。また、遅延聴覚フィードバックは、遮音性が高いヘッドフォンを用いて、雑音を常に提示することにより骨伝導による自分の声のリアルタイムフィードバックを減少させる処置を施した。この実験セットを用いて、15名の成人吃音当事者について、症状の程度と遅延聴覚フィードバックの効果の関係を検討した。その結果、両変数の間に統計的有意に正の相関を認め、吃音症状が強い被験者ほど、遅延聴覚フィードバックによる発話流暢化の程度が大きくなること分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
連携研究者、研究協力者のサポートにより、吃音当事者の研究参加状況も良好であり、遅延聴覚フィードバック効果と吃音症状の程度との関連を調べた知見は新しく、それ自体報告できる成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、経頭蓋直流電流刺激(transcranial direct current stimulation: tDCS)を含む脳刺激法による吃音症状の変化を検討することにより、吃音者における非流調性発話の神経メカニズムに関与する脳部位を明らかにしていく予定である。
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