2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K01959
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
川嵜 圭祐 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (60511178)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | カテゴリ認知 / 前頭葉 / 側頭葉 / 階層性 / 皮質脳波 |
Outline of Annual Research Achievements |
カテゴリの抽象化過程を調べるために、ニホンザルに新たに考案した階層的カテゴリーシンボル化課題を訓練した。各階層の物体とそのイメージ(写真)は、言葉(物体の名前)の意味の包含関係をから階層的に物体画像がカタログ化されているImageNetから選んで、12のイメージと階層的に対応する18の記号を準備した。「犬、人、猿」、「白鳥、タカ、フクロウ」、「菊、チューリップ、コスモス」、「トマト、芋、キノコ」を選んで、これらを最も抽象度の低いレベルとして、それぞれに12の記号を割り当てた。それぞれの「」に対応する中間抽象レベル(哺乳類、鳥、花、野菜に対応する)4つの記号を用意し、さらに、動物、植物に対応する最上位の抽象レベル記号2つを用意した。今研究期間中に、最下位抽象レベルの12の物体ー記号ペアを割り当てる学習が成立し、さらに中間抽象レベルの物体ー記号対応付け学習の一部まで学習が進んだ。最下位抽象レベルも中間レベルも共に90%以上の高い正答率を達成するまで訓練を行なった。最下位抽象レベルではイメージと記号の1対1対応関係を、同じイメージに対し中間抽象レベルでは2対1の対応関係を学習した。サルにおいて一つの物体(カテゴリ)を同時に複数の抽象レベルで記号と対応させる学習が可能であることが示された。今後学習を進め、最上位抽象レベルの学習が可能であるか検証する。また同じ物体を状況に応じて異なる適切な抽象レベルで認識できるか、検証していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
サルにおいて一つの物体(カテゴリ)が同時に複数の抽象レベルで記号と対応させる学習が可能であることは意義深いと考えるが、学習に予想より時間がかかり、最上位抽象レベルの学習が可能かどうか検証するには至らなかった。刺激の呈示方法などの詳細を検討して学習効率の最適化に努めている。
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Strategy for Future Research Activity |
サルにおいて一つの物体(カテゴリ)が同時に複数の抽象レベルで記号と対応させる学習が可能であることは意義深い。今後さらに高い抽象度での割り当ても学習できるか検討していく。訓練終了後、申請者らが開発した広域ECoG電極を下側頭葉皮質、腹外側前頭葉皮質、眼窩前頭葉皮質、嗅周皮質の4領域に留置する。手術からの回復を待って、課題を遂行中の個体から計測を行う。課題に正解するためには上位、中間、下位の抽象レベルを適切に認識し正しい記号を選ぶ必要があるため、抽象化レベルに応じて異なる活動を示す領域、また情報流解析を用いて抽象化を担う機能的ネットワークが同定できる。さらに多点パターン電気刺激を行い同定された領域と機能的ネットワークがカテゴリ認知と因果的に関係するのか検証する。
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Causes of Carryover |
刺激実験用の刺激・記録用アンプは最適なスペックを検証する実験を行なったが、購入に至らなかった。次年度使用予定の皮質脳波記録用コネクタチャンバーのデザイン変更が生じたため、作成に至らなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
生体刺激・記録用アンプアンプは次年度スペックを確定し、必要であれば最適化のための改変したものを購入する。コネクタチャンバーすでにデザインは作成したので、次年度に作成する。
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