2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K01959
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
川嵜 圭祐 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (60511178)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | カテゴリー認知 / 皮質脳波 / 認知脳科学 / 下側頭葉皮質 |
Outline of Annual Research Achievements |
抽象的概念による分類を含む高次カテゴリ認識は、我々の推論、思考、言語活動などを支える基本的で重要な認知機能である。抽象的なカテゴリ認識がどのような神経基盤によって実現されているのか不明な点が多い。本研究課題では、カテゴリ認識の階層性に注目して、サルが階層的な物体カテゴリを明示的な記号を用いて分類する課題(階層的カテゴリ-シンボル化課題)が習得できるか行動学的に検証すること、同時に物体のカテゴリ認識において重要性が示唆されている複数の関連大脳領域から皮質脳波(ECoG)計測を行うことによって、具体性の高い低位のカテゴリ情報と抽象性の高い高位のカテゴリ情報がどのように符号化され、柔軟に読み出されるのか、検証することを目的とした。これまでに中間(基本カテゴリ)、上位カテゴリ、下位カテゴリの3つのレベルからなる階層カテゴリ弁別課題が習得可能であることが示された。また一頭のサルの下側頭葉皮質、前頭前野背内側部に皮質脳波を留置し、上位カテゴリの弁別課題を習得した、一対多の対応関係をもつ上位カテゴリ認知課題中の皮質応答を解析し、下側頭葉皮質、前頭前野背内側部でカテゴリ選択的な応答を見出した。さらに注視課題中のサルに階層的カテゴリ構造をもつ視覚刺激を呈示し、下側頭葉皮質から視覚応答を記録し、入力信号と出力信号による様々なレベルのカテゴリーマップが存在すること、上位のカテゴリーほどマップが均質で、入出力マップの相同性が高いこと、親カテゴリーのマップは子カテゴリーのマップの単純な和としては説明できないことを見出した。階層カテゴリの脳内マップの基本的な特徴を明らかにすることができた。成果の一部を国際学会、学術雑誌にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1頭のサルについて、階層カテゴリ認知の基本構造である、中間(基本カテゴリ)、上位カテゴリ、下位カテゴリの3つのレベルからなる階層カテゴリ弁別課題を習得させることができた。2頭目のサルについては皮質脳波電極を留置し、上位レベルのカテゴリ弁別課題の訓練を終了した。また別の2頭のサルに、注視課題を訓練し、下側頭葉皮質に脳波電極、細胞外針電極を留置し階層的カテゴリ構造をもつ視覚刺激に対する視覚応答を記録した。注視課題中の皮質脳波に対する応答から、側頭葉には、階層カテゴリの脳内マップの基本的な特徴を明らかにすることができたため、概ね順調に進捗していると考えられる。階層カテゴリの脳内マップの基本的な特徴についてはcerebral cortexに公表した。
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Strategy for Future Research Activity |
1頭目のサルにおいて電極留置を行い、上、中、下位階層カテゴリ課題中の脳活動を記録することによって、また2頭目のサルのにおいて、階層カテゴリ課題の訓練を完成させることで、どのような神経メカニズムで、上、中、下位カテゴリのそれぞれを柔軟に表現し、読み出しているのか検討していく。
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Causes of Carryover |
皮質脳波の解析用PCに当初想定したより高いスペックが必要なことが判明したため、必要十分なスペックを再検討するために予備的な解析、実験が必要であった。このため選定に時間がかかったが、今後、他の予算との合算も検討し、効率的にプロジェクトを推進するために、適切な機器を購入する予定である。
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