2018 Fiscal Year Research-status Report
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16K01960
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| Research Institution | University of Yamanashi |
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Principal Investigator |
地本 宗平 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (80324185)
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| Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2020-03-31
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| Keywords | 高次聴覚野 / 二次聴覚野 / 後部聴覚野 / 非対称音 / 自然音 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
一次聴覚野ニューロンは、音のスペクトルがその細胞の周波数応答野に存在していれば、様々な種類の人工音や自然音の刺激に対して似たような時間応答特性を示すことがこれまでに分かっている。これら一次聴覚野ニューロンに対して高次野の聴覚ニューロンは、純音に対して幅広い周波数応答野を持つことは知られているが、それらの人工音に対して概ね応答が弱い。また昨年度までの研究により、高次聴覚野のうち、二次聴覚野と後部聴覚野ニューロンについて非対称に音圧振幅が変化する音刺激に対する応答を調べた結果、音圧振幅の増加時のみに応答を増加させるタイプと音圧振幅減少時に一致して応答を増加させるタイプのあることが明らかになった。しかし、他の人工音や自然音に対するこれらのニューロンの応答特性は不明であった。そこで本年度は、それらの音に対する応答を非対称音刺激に対する応答と同じニューロンにおいて記録した。その結果、いくつかの高次野ニューロンは、人工音と自然音の両方で、音圧変化の特性変化に一致して活動を増加させることが明らかになった。つまり、これらのニューロンは、自然界の音響環境から音圧変化情報のみを抽出して、符号化している可能性がある。また別のいくつかの高次聴覚野ニューロンでは、種特異的な声とヒトの母音に特異的に強く応答することが明らかになった。この結果は高次聴覚野が音響情報のうち振幅の時間変化情報と種特異的な音声をそれぞれ別のニューロンによって符号化していることを示唆している。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、記録できた二次聴覚野（A2）と後部聴覚野（PAF）ついて、音包絡変化方向の非対称性音に対する応答以外に人工音と自然音に対する応答を記録し、解析を開始した。
前年度までに明らかになった、音圧振幅の増加時のみに応答を増加させるタイプと音圧振幅減少時に一致して応答を増加させるタイプのそれぞれが、自然音刺激でも同様の音圧変化応答特性を示すことが明らかになった。このことは、一次聴覚野ニューロンの純音応答特性と自然音応答特性の関係と同様に、高次聴覚野では、この音圧振幅特性が、音刺激に対する基本的な時間応答特性を決定していることを示唆している。また高次野の別の細胞は、音圧振幅変化ではなく、種特異的な音声に強く応答することが明らかになった。この細胞の高次野での分布と他の人工音、特にピッチ知覚に関係するハーモニック構造をもつ音に対する応答は、音色知覚との関連を調べるために是非調べる必要があると考える。
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| Strategy for Future Research Activity |
一次聴覚野には、ハーモニック構造を持つ音にのみ応答するニューロンが存在し、そのニューロンは興奮やの両側に抑制帯が存在している。もし、これらのニューロンから本年度明らかにした種特異的な音声のみに応答するニューロンへの入力があると考えると、これらの高次野ニューロンも、そのような興奮抑制帯の配置を持ち、おそらくハーモニック音に応答すると考える。従って、これらのニューロンのハーモニック感受性を調べることが重要であると考えられる。さらにこれらニューロンが高次野のどこに分布するかは、これまでに主にヒトのMRI実験等で提唱されているいわゆる音響処理のwhat経路がどこに存在するのかを明らかにするうえで、音色知覚の基盤を知るの同様に重要であると考える。
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| Causes of Carryover |
既存の設備備品からの更新を予定していたが、前年度に大学内実験規定変更により進行中の実験を一時中断する必要があり、その関係で実験機器の購入が遅れ、次年度以降に繰り越すことになった。
解析用コンピュータと解析データ保存用サーバの更新と新規の購入品として、アイソレータ、無線式記録システムを予定している。また音声出力・解析プログラムであるmatlabについてはライセンスの更新を予定している。
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