2018 Fiscal Year Research-status Report
新興民主主義国における軍の民主的統制:欧州モデルと東南アジアモデルの再検討
Project/Area Number |
16K01983
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中内 政貴 大阪大学, 国際公共政策研究科, 准教授 (10533680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木場 紗綾 公立小松大学, 国際文化交流学部, 准教授 (20599344)
安富 淳 宮崎国際大学, 国際教養学部, 専任講師 (50704673)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2020-03-31
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Keywords | 政軍関係 / 民軍協力 / 東南アジア / 欧米 / 欧州の新興民主主義国 / ボスニア |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の研究計画にしたがい、2018年度は主として研究成果の発表に注力した。研究代表者の中内は、欧州の新興民主主義国の事例研究の結果として、ボスニアの事例について、紛争後の過剰な分権的体制のゆえに一元的な軍の管理が困難となり、また武力紛争時に築かれた非公式なパトロンークライアントの関係が温存されてしまっている問題を取り上げ、国内政治および欧米からの圧力と関係付けて分析する論文を、共著本『ハイブリッドな国家建設』(藤重博美・上杉勇司・古澤嘉朗編、ナカニシヤ出版)の一部として発表した。 分担研究者では、木場は東南アジア諸国に対する分析の結果を「東南アジアにおける軍組織ー欧米とどこが異なるのかー」と題する論文にまとめ、これら諸国が、西欧の民主化を促進する財団の支援を受けつつも、土着エリートや軍人との対話や妥協を尊重する、いわば「アジア的な」改革を模索してきた現実を描き出し、日本貿易振興機構アジア経済研究所の『東南アジア政治の比較研究』に発表した。また安富は理論面での考察を進め、理論の見地からみた事例の位置付けについて、研究グループ内での議論を重ね、国内外の研究会での発表等を行った。 上記の成果発表に加えて、引き続き軍の民主的統制に関して、欧米NGOなどが果たす役割や地元の政治関係の影響などについて理論面の精緻化を目指すとともに、事例についても、追加的な資料を入手・分析し、アクター間の関係や地元の文脈などをより明確に描き出すべく研究を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では2018年度が最終年度であったが、研究代表者、研究分担者ともに、個別に研究発表を行う機会が多く、全員が参加する形での学会報告や一つの出版物という形でまとめるまでには至らなかった。このため、1年間の研究機関の延長を申請し、ご許可いただいたところであるが、全体としては理論面・事例面の双方で研究を進展させることができており、概ね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
延長を認めていただいた2019年度は、本プロジェクトの集大成として、研究チーム全体での成果発表を中心に行う予定である。具体的には、海外の学会での研究発表の機会を求めるとともに、共著論文の形で成果をまとめることを目指す。また、追加的な情報の取得のための現地調査の可能性も追求する。
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Causes of Carryover |
海外での学会発表を計画していたが、研究グループ内での日程が合致せず機会に恵まれなかったことがあり、予算に残額が生じた。2019年度は、研究グループ全員が参加する学会発表や共著論文の執筆等によって、残額を執行することを予定している。
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