2019 Fiscal Year Annual Research Report
Democratic Control of Armed Forces in New Democracies: Re-examination of European Model and South-East Asian Model
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16K01983
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中内 政貴 大阪大学, 国際公共政策研究科, 准教授 (10533680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木場 紗綾 公立小松大学, 国際文化交流学部, 准教授 (20599344)
安富 淳 一般財団法人平和・安全保障研究所, その他部局等, 研究員 (50704673)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2020-03-31
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Keywords | 内在的な軍改革の要請 / 外圧利用モデル / 共鳴 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、北マケドニアのNATO加盟がついに実現し、また同国のEU加盟に関しても動きが見られるなど、状況の大きな変化が生じたため、研究代表者は、西バルカン6カ国に対する外圧モデルの再評価を行なった。北マケドニアのNATO加盟プロセスにおいては、加盟行動計画に沿った改革の順調な達成が評価される一方で、国防予算がNATO基準であるGDP比2%を大きく下回る点や、国防費に占める人件費の割合が高く、装備購入などにより多くの予算を割り振るべきであることなどが指摘され、加盟後もマケドニアの軍事改革プロセスは継続することが繰り返し確認されてきた。米国の政策変更によって大西洋共同体としてのNATOの位置づけ自体に揺らぎが見られる中、新加盟国に対して、NATOの一員として貢献を行うことがより強く求められるという変化も認められた。一方で、長年の国名争いを繰り広げてきたギリシャとの関係が、国名変更を中心とする二国間合意によって劇的に改善したことは、それ自体がNATO加盟を可能にする大きな動きであったが、一方で、NATO加盟の安全保障上の意味を相対化させたことも確かである。 これらの動きを踏まえて、民主的統制の確立および人員の縮小を柱とする軍の改革には、どの程度内在的な要請が存在するのか、という視点を再考し、NATOやEUへの加盟プロセスの中で課される外圧としての改革の要請との関係を検討してきた。これにより、内在的な要請と外圧とが共鳴しながら軍事改革が進められるという、外圧利用モデルの構築を行なってきた。これについて、西欧の研究者や実務家との意見交換、さらに西バルカン諸国での実務家をまじえたセミナーの実施を計画してきたが、1月以降のコロナウイルス感染症の拡大に伴い渡航が困難になったことから、理論面での精緻化を目指した。また共同研究者は、国際学会等で積極的に成果の公表を行なった。
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