2016 Fiscal Year Research-status Report
チェルノブイリ事故後のフィンランド・旧東独における旧ソ連製原発の運用継続と中止
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16K01984
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 温子 大阪大学, 国際公共政策研究科, 招へい研究員 (20748264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木戸 衛一 大阪大学, 国際公共政策研究科, 准教授 (70204930)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 原発 / フィンランド / 旧東独 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、各人が担当地域における資料収集およびインタビューを行い、適宜他の研究者も交えて研究会や勉強会を重ねた。具体的には、7月に大阪大学で本研究の詳細な打ち合わせが行われた後、9月に京都、10月に広島において、各国の原子力に関する研究者らを交えて、研究成果を報告し意見交換する勉強会が行われた。 佐藤は、2016年10―11月にヘルシンキの国立図書館と議会図書館、タンペレ大学図書館において研究資料を収集した後、ユヴァスキュラ大学社会科学・哲学学部研究者タピオ・リトマネンのもとで研究滞在を行った。現地において研究報告を行い、現地研究者らと情報交換を行い、かつ研究に必要なネットワークを構築した。加えて、リトマネン氏およびロヴィーサの反対運動中心人物トーマス・ローゼンベリへのインタビューを実施した。貴重な資料を得るとともに、次回の訪問調査協力の確約もまた得られた。 木戸は、2017年1、2月にボーフムでドイツのエネルギー産業に関する歴史を概観し、ベルリンで旧東独原子力産業に関する資料を閲覧、ディーター・ホフマン、ライナー・カールシュ、セバスティアン・プフルークバイル各氏に関連のインタビューを行った。現地で研究報告を行うことにより、情報交換および意見交換がなされた。 「研究計画」に記載した通り、両者とも、チェルノブイリ事故後のフィンランド・東独における受け止められ方と対応策に関して分析を行った。今年度の研究成果の一部は、特に2017年公刊の本『核開発時代の遺産』(昭和堂)所収の論文および『北ヨーロッパ研究』所収の研究ノートをはじめとして反映されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記「研究業績の概要」欄記載の通り、現地資料調査およびインタビューにより、興味深い知見が得られ、その一部を2017年に成果として発表している。ロヴィーサ原発関係者とのインタビューが先方の都合により果たせなかったが、2017年度に行われる次回の訪問調査の協力に関して約束を得ているため、上記のように評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
ひきつづき、現地における資料調査およびインタビューを重視するとともに、成果の公表を目指す。 フィンランド研究に関しては、ヘルシンキの国立図書館および2016年に知見を得たロヴィーサの反対運動中心人物ローゼンベリを訪問、旧ソ連製原発ロヴィーサ周辺地域において比較的長期滞在し、施設の視察とインタビューを実施し、新聞等の資料収集を集中して行う。 東独研究に関しては、ベルリンにある連邦文書館、ハインリヒ・ベル財団文書館を訪問し、平和革命期の反原発運動に関して、「新フォーラム」や旧東独「緑の党」の動向を含めて研究する。 今後は、日本平和学会にて研究成果を公表し、社会還元するとともに、意見交換・情報収集を行う。また、海外から研究者を招聘し、研究会を開く予定である。
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