2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K01985
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
謝 政徳 大阪大学, 法学研究科, 招へい研究員 (10718761)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 植民地台湾 / 弁護士 / 司法代書人 / 東アジア近代法史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、植民地時期の台湾人たちが弁護士、司法代書人などの「法律家」を通じて、西欧に由来した近代法の理念を受容していく過程の一端を解明することを目的とする。具体的には、統治権力と社会の媒介である「法律家」=弁護士、司法代書人の活動と、「法律家」と台湾社会との関わりを分析することにより、台湾の地域社会における法的サービスの需要と提供がどのように行われていたのかを明らかにしつつ、近代法の理念が地域社会レベルにおいてどのように受容されていったのかという過程を解明する。 初年度は、植民地台湾の地域社会における法的サービスの需要と提供の構造を解明することに重点を置いた。そのための準備作業として、植民地時期の立法過程に関する資料の取集と台湾で登録した弁護士名簿の整理・作成に取り組んでいた。前者に関しては、おもに、国史館台湾文献館所蔵の「台湾総督府公文類纂」、東京大学法学部の近代日本法政史料センター等で資料の収集作業を行った。後者については、「台湾総督府府報」「台湾日日新報」「台湾人物誌」などのデータベースから、登録した全弁護士情報の抽出作業を行い、リストの作成を行った。本研究課題に直接関わる研究発表としての実績は上げるに至っていないが、上述の通り基礎作業としての弁護士基礎資料集の作成を行った。また、研究課題に関連する文献や研究書を幅広く購入した。現在これらの資料や先行研究の分析を順次進めている。なお、当初予定された海外調査(台湾)は、上述のデータベースで新資料の発見により見送ることにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「台湾総督府公文類纂」(台湾国史館台湾文献館)では、明治33年の台湾弁護士規則および大正5年の司法代書人法の制度過程に関する新資料を収集することができ、研究を促した。また、「台湾総督府府報」「台湾日日新報」「台湾人物誌」などのデータベースから、植民地台湾における全弁護士の基礎情報集を作製した。
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Strategy for Future Research Activity |
申請書通りに次年度の課題である「地域社会における「法律家」の多様性の分析」に取り組み、国内外の資料調査を積極的に行って成果を公表したいと考えている。そのため、日本と台湾両地において、引き続き植民地「法律家」に関する資料の発掘を試みる。
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Causes of Carryover |
当初予定していた海外調査(台湾)を見送ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き日本と台湾の資料調査を行うことと研究関連書籍等の購入に充てたいと考える。
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