2016 Fiscal Year Research-status Report
貧困層による人口移動と食糧確保問題―ブラジルの都市・都市近郊農村の非公式市場流通
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16K01986
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
石丸 香苗 岡山大学, 地域総合研究センター, 准教授 (00572471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 若菜 神田外語大学, 外国語学部, 講師 (10547904)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 大都市ー地方都市―都市近郊域 / 自家作物 / 社会的上昇 / 新中間層 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は、①北部地方都市近郊域の食料安全保障および人口動態、②北東部農村と中西部大都市の人口移動、についての調査・解析を行った。 地方都市と近郊農村域の人口動態については、都市周辺域の人口増加が認められたが、これは新中間層の降下が生じ始めたと考えられる2015年の経済危機以前から始まっていた。また、都市周辺域の郡において、中心部の世帯(タウンエリア)と農業生産可能な土地のある世帯(ルーラルエリア)に分けて、自家作物の寄与に関する事前調査を行った。ルーラルエリアでは一食あたり約90キロカロリーを自家作物由来で摂取しており、主食であるキャッサバの貢献度が高い一方、タウンエリアでは家禽のほか19種の果樹・樹木作物と7種の畑作物が観察された。 大都市の人口動態では、ブラジリアにおける北東部からの建設移民とその子孫に焦点を当て、空間的移動が社会的移動に影響したことを示した。また、全体として南部・中西部から北東部へ戻る移動のサイクルが生じていた。 研究成果の発表として、本課題研究の共催・共同企画の二回の国際セミナー、「ブラジルの社会的流動性:新中間層と貧困層」と「第 2 回日伯文化環境研究会2nd Brazil-Japan Seminar on Cultural Environments:ブラジルの都市-農村の人口移動と食糧確保 MOBILITY AND FOOD SECURITY IN BRAZIL」が開催された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査研究によって必要な情報がスムーズに得られ、当研究の大都市・地方都市近郊域における人口動態・食料ネットワークの全体像が掴めつつある。また、二回のセミナーを通しての本課題研究成果の波及も評価できると考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
①地方都市と都市周辺域の人口動態の推定を行う。②都市周辺域の郡において、中心部の世帯(タウンエリア)と農業生産可能な土地のある世帯(ルーラルエリア)に分けて、食料の安全保障に関するシステムを明らかにする。③大都市における食料の安全保障のシステムを明らかにする。④ブラジル全土における近年の人口動態の傾向を明らかにする。⑤上記四つから都市―農村間の食糧の安全保障の人口動態への影響を把握する。
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Causes of Carryover |
代表者の予算残額は21,000円であり、誤差の範囲である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定どおりの計画で行う。
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