2017 Fiscal Year Research-status Report
貧困層による人口移動と食糧確保問題―ブラジルの都市・都市近郊農村の非公式市場流通
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16K01986
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
石丸 香苗 岡山大学, 地域総合研究センター, 准教授 (00572471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 若菜 神田外語大学, 外国語学部, 准教授 (10547904)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 大都市ー地方都市―都市近郊域 / 自家作物 / 社会的上昇 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、①北部地方の都市近郊域において食糧の安全保障に関する現地調査、②都市部の食糧の安全保障に関連する文献調査を行った。北部都市近郊域の食糧安全保障の調査では、都市周辺域の郡において、中心部の世帯(タウンエリア)と農業生産可能な土地のある世帯(ルーラルエリア)を対象に、乾季と雨季の二回それぞれ二週間の食事調査および食糧購入のための出費の調査を行った。食事調査は毎回の食事の内容と材料と材料の重量、またその食材がどこ由来であるか(自家作物・マーケット・贈与)を記録した。タウンエリアとルーラルエリアを比較すると、ルーラルエリアでは自家作物を恒常的に消費しており、特にキャッサバ由来の主食であるファリーニャによるエネルギー量が大きいほか、果樹作物によるビタミン等の摂取の寄与が評価できると考えられる。今後、調査結果の解析から都市周辺域の居住エリアによる食糧安全保障タイプの違い、自家作物生産が世帯の摂取エネルギー・栄養・支出の削減に及ぼす影響を明らかにしていく予定である。北部都市近郊域についての昨年度までの調査結果は、執筆担当をした「抵抗の森・創造の森-アマゾン開発と民衆運動」(小池洋一・田村梨花編)第6章、土地への闘い―社会的再生手段としての土地なし農民運動の中にまとめられた。都市部の食糧安全保障の調査ではNGOなどの団体が、低所得者世帯に不足しがちな野菜等を学校などで栽培する活動などを行っている。このような低所得者向けの食糧の安全保障関連の活動や、行政による政策などを調査すると共に、低所得地域での食糧の分配/独占に関する文献調査を行った。また、食糧の安全保障に関連し、経済格差および教育格差が世帯の食習慣に与える影響に関する文献調査を行った。生活習慣病や糖尿病、肥満などの割合と、食習慣/入手可能な食材などを調べ、2018年度の現地調査に向けた準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査により必要な情報が集められており、順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
①本年度採集した北部都市近郊域の食糧安全データの解析、②大都市における貧困層の食糧安全保障システムの調査、②地方都市と都市周辺域の人口動態の解析をとおして、都市と都市近郊域の人口動態における食糧の安全保障の影響を明らかにする。
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Causes of Carryover |
参画者の一人が予定していた調査への渡航が出来なかったため、一回分の調査の旅費が残額として出たため。今年度は調査予定を変更して文献調査とデータ分析を行ったので、次年度は旅費として使用する。
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