2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K01990
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
塩原 俊彦 高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 准教授 (60325397)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ロシア / 北極 / 中国 / サイバー空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
29 年度においては、北極海開発にかかわる研究実態について、北海道大学スラブ研究センターの田畑伸一郎教授と2017年5月、面談のうえ意見交換した。それに基づいて、同年9月26日、ノルウェーのFridtjof Nansen Instituteのロシアの石油ガス問題の専門家Arild Moeおよび中国の専門家Iselin Stensdalの両氏と意見交換し、中国の北極海進出について理解を深めた。こうした面談に基づいて、同年11月、『ロシアNIS調査月報』誌上において「中ロ協力の現状と問題点」を公表した。加えて、同年9月28日、エストニアのE-Governance Academyにおいて、Iselin Stensdal氏と面談し、ロシアを含む各国のサイバー空間への進出状況と国家規制のあり方について意見交換した。 28 年度と同様に、ガスプロム、ロスネフチなどのロシア企業と、中国のCNPCなどとの協力関係について研究を継続した。その成果については、今後、『ガスプロムの政治経済学(2018年版)』で紹介する。 2018年2月12~17日、ウクライナに出張し、ロシアと対立を深めるウクライナ側からみたロシアと中国との関係などについて取材した。ウクライナのTransparency InternationalのAndrei Marusov氏と13日に面談し、ウクライナの腐敗状況についても意見交換した。キエフ・モヒーラ大学のイェヴヘン・フェドチェンコ教授とは、サイバー空間上におけるdisinformationについて議論した。East European Security Research Initiative FoundationのMaksym Khylko氏とは17日、中国のロシア・ウクライナなどでの安全保障にかかわる進出状況について意見交換した。ウクライナの状況については、2018年に『ロシアNIS調査月報』誌上において研究成果を発表する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
最大の理由は、2016年2月、モスクワにおいて連邦保安局(FSB)職員によって「拉致」された結果、その後のロシアへの入国が困難になったことによる(詳しくは同年に刊行した拙著『プーチン露大統領とその仲間なち:私が「KGB」に拉致された背景』を参照)。このため、毎年、モスクワを訪問してきたが、「逮捕」される危険があるために、ロシア出張を断念せざるをえない状況となっている。 ロシアでの出張に代えて、ノルウェーやエストニア、ウクライナに出張したが、当初の計画とはやや違った視点から、中ロの関係を考察せざるをえず、それが遅れにつながっていると言わなければならない。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では、30年度はとくに軍事面にかかわる中ロ協力について集中的に調査する計画であった。 具体的には航空機産業、造船、情報産業、サイバー空間における協力関係を分析するつもりであったが、ロシア出張が困難なため、カザフスタンやウズベキスタンなどの中央アジアにおける中ロの政治・経済上の「せめぎ合い」について考察しようと考えている。 中国の「一帯一路」計画における中央アジアや北極圏への進出については、台湾や香港の研究者との面談を計画している。
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Causes of Carryover |
ロシアへの渡航が困難になったため、当初の計画に大幅な齟齬が生じているため。
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