2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K01992
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
西本 太 長崎大学, 熱帯医学・グローバルヘルス研究科, 助教 (60442539)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 死亡 / 疾病 / 環境 / 地域史 / ラオス |
Outline of Annual Research Achievements |
途上国農村部における死亡パターン・トレンドの経年変化は、現地住民をとりまく社会経済条件や自然環境の変化を跡付ける重要な資料となりうる。しかし、現地の保健医療機関では死亡記録や統計情報がいまだ整備途上にあり、過去の死亡に関する情報を具体的かつ広域に集めることが難しい。そこで本研究では、近年変化の著しいラオス農村部を対象に、住民の疾病・死亡の動向について調べた。具体的には農村部の成人・子どもが(1)どんな病気や傷害が原因で死ぬのか、(2)死ぬ前にどんな治療ケアを受けたのかの2点について農村生活の変化との関係において明らかにすることを目的とした。本年度は、死因と死亡前の治療行動を家族から聞き取るための質問票をサーベイアプリODKに変換し、スマートフォンを使って回答を集められるようにした。これにより、研究者自身が長期間、現地に張り付かなくても、現地の研究協力者(調査員)を通してリアルタイムでデータ収集できるようになり、またデータがインターネット経由でサーバーに送られてくるため集計分析が容易になった。一方で、データの質を管理するには、十分なトレーニングを通して現地の研究協力者と問題意識を共有することが不可欠であり、またコミュニケーションのために安定した通信環境の確保が必要なことが課題として浮かび上がった。本年度はこうした課題に対処しつつ現地の調査体制を確立しデータ収集を行った。また、研究課題の中間報告として国内外の研究会議・学会で発表し、出席者との討議を通して分析手法に関する有益な情報が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
質問票をサーベイアプリに変換し、スマートフォンでデータ収集する体制が整った。また、研究発表や研究打合せを通して、人口保健データの分析・解釈に関して専門家から意見を得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は引き続き、農村部の死亡・疾病動向に関するデータを収集するとともに、対象地域の社会・自然環境の変化に関する資料収集も行い、死亡パターン・トレンドの変化を地域史のなかに位置付ける。また、国内外の研究会議での発表とそれにもとづく論文執筆にとりかかる。
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Causes of Carryover |
(理由)現地の研究協力者との日程調整がつかなかったため、予定していた調査員との現地での打ち合わせ・共同調査を次年度に延期した。
(使用計画)研究協力者の日程を優先的に確保し、現地調査とデータ収集に集中的に取り組む。そのための旅費および調査費用(調査謝金・データベース作成謝金)に使用する。
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