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2017 Fiscal Year Research-status Report

現代パレスチナ文化の観点による平和構築論の再検討 パフォーミング・アートを中心に

Research Project

Project/Area Number 16K02001
Research InstitutionHiroshima City University

Principal Investigator

田浪 亜央江  広島市立大学, 国際学部, 准教授 (70725184)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2020-03-31
Keywordsパレスチナ / パフォーミング・アート / 平和構築 / 紛争転換
Outline of Annual Research Achievements

今年度の現地調査では、パレスチナのNGO組織や文化センターのなかでも本研究の目的に適うものとして、ベツレヘムの「ウィアーム:パレスチナ紛争転換センター」およびラーマッラーの劇団「アシュタール」を選び、詳しい調査を行った。1994年に設立された「ウィアーム」はスルハと呼ばれるアラブ社会における伝統的な調停・和解のあり方に依拠しながら、パレスチナ社会に市民社会の原理を根づかせ、多元的な社会を構築するためのトレーニング・プログラムやワークショップを実施している。他方「アシュタール」は、プロの俳優による質の高い公演をパレスチナ内外で行う一方で、地元の若者に演劇やコミュニケーションスキルのトレーニングを行っている。また観客を舞台進行に戦略的に巻き込み、対話や社会参加を促進する手法として知られるフォーラムシアターを実践し、成果を得ている。
調査を通じて明らかになったのは、1.ワークショップやフォーラムシアターのように世界各地で実践されてきた手法が、パレスチナ社会の文脈のなかで取り入れられてきたプロセス 2.国際社会から見た「平和構築」がパレスチナ/イスラエル間の紛争調停を第一義とするのに対し、現地社会ではパレスチナ社会内部の問題が焦点化され、利権や威信に関する宗教・宗派間、ファミリー間の対立調停に重点がおかれること 3.前記にも拘わらず、一般的な平和構築概念と伝統的でローカルな紛争解決手法とのあいだに接点を見出そうとする創意、である。
今年度はまた、平和構築概念の背景や平和構築プロセスの現状に関して文献を通して理解を深めるよう努めた。引き続き現地関係者への聞き取りを行うことで、当事者と外側の社会とのあいだでの「平和構築」という言葉に関わる認識のズレをより鮮明に提示するという道筋を描けた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本年度の最大の成果は、スルハを和平構築に取り入れて実践している活動のあり方と、劇団の中心的な活動としてフォーラムシアターを実践し、成果を挙げているケースに焦点を絞り、インタビューを行うことが出来た点である。本年度の間に再度現地を訪問し、活動の参与観察を行うことが望ましかったが、2回目の現地調査の時間を確保することが出来なかったため、4ヶ月程度の遅れを生じさせている。また、本研究開始の動機の一つでもあった現地でのPPAN(パレスチナ・パフォーミング・アート・ネットワーク、2015年立ち上げ)の活動も、従来の諸団体の活動以上のビジョンを見出しにくい。
他方でウェブサイトを構築し、アップする資料を準備することで研究ペースの維持につなげる流れを作ることが出来た。遅れは認識しつつ、着地点を含めた全体の見通しは立ったと考えている。

Strategy for Future Research Activity

2018年度は夏季の早めの時期に現地調査を行い、2回目の現地調査の前に成果を整理する時間を確保することで、2回目の調査を遅滞なく行うこととする。
また資料整理のための翻訳協力者を確保し、研究成果の公開のスピードアップを図る。

Causes of Carryover

2回の現地調査を予定していたが、実際には時間確保上の問題から、1回の調査のみとなったため。またウェブサイト構築については、すでに自身で構築していたサイトの一部にページを置いたため、業者への委託に関わる支出も不要となった。2018年度については、2回の現地調査に加え、研究成果公開のための翻訳や資料整理のための経費として使用することで次年度使用額は生じないものと見通される。

Remarks

広島市立大学国際学部 田浪亜央江研究室HP「石の都水の街 パレスチナ文化情報@広島」(http://www.palestine-hiroshima.com)内に設置。

  • Research Products

    (3 results)

All 2017 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Book (1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] オスマン末期のパレスチナ人にとっての郷土/祖国――ハリール・サカーキーニーの日記を入り口に2017

    • Author(s)
      田浪亜央江
    • Journal Title

      アジア太平洋レビュー

      Volume: 14 Pages: 68-80

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Book] 広島市立大学国際学部叢書 8 〈際〉からの探究 ―国際研究の多様性2017

    • Author(s)
      広島市立大学国際学部〈際〉研究フォーラム 編
    • Total Pages
      196
    • Publisher
      文眞堂
    • ISBN
      978-4-8309-4985-2
  • [Remarks] 文部科学省科学研究費 基盤研究(C)中間報告

    • URL

      http://www.palestine-hiroshima.com/2017_kaken.html

URL: 

Published: 2018-12-17  

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