2018 Fiscal Year Research-status Report
移民の習い事・教え事の継承・活用・変容の基礎研究―方法論的ナショナリズムの相対化
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16K02011
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Research Institution | Musashino Art University |
Principal Investigator |
小澤 智子 武蔵野美術大学, 造形学部, 准教授 (20459978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板津 木綿子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (80512334)
北脇 実千代 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (20369458)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 移民 / 移住 / 移動 / トランスパシフィック / 日系 / 文化 / 歴史 / アイデンティティ |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度において、当初予定していた内容以上に調査研究を進めることができた。第13回目から第15回目の会議・研究会を開催し、メンバー間の情報・意見交換を積極的に進めた。また各研究者は史・資料の調査に集中し、そしてその成果の一部を中間報告として発表することができた。 本研究プロジェクトのメンバーは、それぞれ中間報告として成果の一部を発表し始めている。本研究の理論的な部分としては、方法論的ナショナリズムの相対化を目指しているが、この1年間で、この理論に関連するような示唆に富む研究成果が増えたように思う。最新の研究動向に注目しながら、客観的な検証作業を重ねている状況である。代表者・小澤は、本研究のもう一つの理論的な枠組みとなる「トランスパシフィック」史について、本年度に出版した論文集Japaneseness across the Pacific and Beyond(彩流社)の序文において先行研をまとめ議論の整理を行った。研究者・板津は、学会発表「余暇史研究における「他者」の再考:グローバルヒストリーへの展開に向けて」(余暇ツーリズム学会レジャー・スタディーズ研究科部会)や発表「レジャー政治学への招待状」を行った。加えて、板津は、1930-1945年におけるレジャーをめぐるレトリックをグローバル・ヒストリーに関連づけた論文を発表した。研究者・北脇はハワイでの調査研究を実施しつつ、第二次世界大戦前に日米で活躍していた小川信子(洋裁の指導者)に関する論文を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定よりも研究テーマとする対象(地域や時代など)を拡充させる方向性を見出しつつ、一次資料・二次資料の調査を充実させることができたため、計画以上に進展している。さらに成果の一部を発表・公表する計画がより具体的に計画できた1年であった。 従来の研究では、社会・国家などの集団論を構築し固持する文脈において個人の言動やその表象が埋め込まれる傾向から脱け出せずにきた。本研究ではこれに異議を唱え、従来の研究では適わなかった個人の主体性を軸とし帝国主義、植民地主義、国家主義、人種主義、ジェンダー化の構築過程に光をあて、社会・国家などの集団論をより客観視する。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度も、予定通り基本的な史・資料を収集し続けながら、その調査結果をまとめるための討議を進める。そして、調査の成果を出版・発表できるように調整を進める予定である。
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Causes of Carryover |
最終年度の成果出版・発表に向けて、予算執行を調整した結果として、次年度使用額が記載のとおりとなった。
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Research Products
(4 results)