2017 Fiscal Year Research-status Report
スウェーデン社会の透明性の分析から導出する腐敗・汚職と公共部門に関する理論研究
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16K02014
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
福島 淑彦 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (80367680)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | スウェーデン / 社会の透明性 / 腐敗・汚職 / レント |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究は、平成28年度の研究を踏まえて、(1)スウェーデン人の道徳観に関する資料・文献調査、(2)腐敗・汚職行為と公共部門の大きさ、汚職行為を抑制する制度について分析可能な理論モデルの構築、を研究の主眼に置いた。 (1) については、個人の価値観に関するインタビュー調査である「世界価値調査」(World Value Survey)の道徳観や価値観に関する回答結果を精査して、スウェーデン人の道徳観、価値観の特性を抽出した。加えて、スウェーデン研究者によるスウェーデン人の道徳観・価値観に関する研究・調査報告書の精査・整理を行った。 (2)については、本科研費研究のこれまでの研究・調査で明らかとなったスウェーデン社会の透明性の特質、スウェーデン人の道徳観・価値観等を考慮した公共部門の大きさと腐敗・汚職行為の関係が分析可能な理論モデルの構築を試みた。理論モデルは完成しているわけではないが、理論モデルを用いた分析論文を執筆し、国内外の学会で数回論文報告を行った。学会でのコメントをもとに、現在加筆修正を行っている。 上記の(1)と(2)に加えて、平成28年度に計画していて実行できなかったスウェーデンで行政機関の評価や分析を行っているStatskontoret (Myndigheten for en effective stats forvaltning、パブリック・マネジメント庁)に対するインタビュー調査及び、Goteborg、UmeaなどStockholm以外の地方自治体に対するインタビュー調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りおおむね順調に研究が進んでいる。
但し、下記の2点で100%計画通り研究を遂行でたとは言い難い。 (1)「世界価値調査」(World Value Survey)を用いて道徳観・価値観に関して、スウェーデンと他国との比較を計量的に行う計画であったが、データの整理等に時間を要し、詳細な比較分析を行うところまでは至らなかった。 (2)理論モデル構築に関する方向性はある程度定まってきたが、モデル構築には異なるフレームワークやアプローチ方法が多数存在し、どのフレームワークやアプローチが本研究の分析に最適であるのか、試行錯誤中である。
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Strategy for Future Research Activity |
早急に理論モデルで採用するフレームワーク・アプローチを確定し、理論モデルを完成させる。その上で、構築した理論モデルをデータを用いてテストし、理論モデルが現実を十分に説明し得るかを検証し、モデルがより現実的なモデルとなるように努める。また国内外の学会で積極的に報告し、海外のアカデミックジャーナルに投稿できる水準まで理論モデルの質を高め、本研究の最終目標である「腐敗・汚職による社会的厚生損失を最小限にする公共部門で働く職位別の労働者数と賃金水準」を導出する。
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Causes of Carryover |
Sweden国内で2018年2月にインタビュー調査を計画していたが、インタビューそのものが先方の都合でキャンセルとなってしまったため「次年度使用額」が発生してしまった。2018年夏前には2月に予定していたインタビューを行いたいと考えている。
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