2018 Fiscal Year Research-status Report
中国の対外政策決定の実証的研究:アジア周辺外交における中央地方関係に着目して
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16K02015
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
吉川 純恵 早稲田大学, 政治経済学術院, 助教 (50756228)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 中国外交 / 地方政府 / 対外政策決定 / アジア周辺外交 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、中国のアジア周辺外交を中央・地方関係に着目して検討するものである。中国の地方政府は周辺国と活発に対外経済活動を行うようになっているが、とくに複数国が関わる開発計画は、地方主導で政策が決定され実施されるようになっている。 平成30年度は、おもに現地調査、資料収集、論文執筆の三つを行った。現地調査は、中国南部の広西チワン族自治区南寧市で「中国ASEAN博覧会」の開催期間中に実施した。広西は中央への働きかけが実り、南寧を博覧会の永久開催地とすることに成功した。博覧会は2018年に15回目を迎えたが、地方政府が市民に向けて大々的な宣伝を行ったこともあり、一般公開日には入場制限がかかるほど盛況だった。東南アジアの企業による出店ブース数、商談成立額も増え続けている。また博覧会の会場は市中心部から少し離れた場所にあるが、周辺には高層マンションが建ち並びショッピングモールが新設され地下鉄が延伸するなど、新しい街が発展を遂げている。地方政府が主体となり獲得した中国における「ASEAN諸国との交流の窓口」という地位は、時間を経て着実に自治区の経済発展に貢献していることがわかった。 このほか、中国のアジア外交に関する地元紙の報道や資料の収集した。現地の研究者とアジア諸国と貿易を行う地元企業の役員に地域の発展構想、地方政府の関与などについて聞き取りを行った。これまでに実施した現地調査で得られた知見、収集した資料の再検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年春から大学内の所属と身分の変更により業務内容が大きく変わり、授業準備や学内業務に多くの時間を費やした。現地調査や資料収集は当初の予定通り行うことができたが、内容を精査、分析して論文にまとめ、対外発信するという最終段階まで達することが出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、研究成果の総仕上げの年である。これまでに収集した資料を再検討し、現地調査で得た知見を反映させて論文を完成させる。国内外の学会報告と英語論文の査読ジャーナル上での公刊を目指している。
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Causes of Carryover |
論文の修正が必要となったため、繰り越した研究費は主に英文校閲費に使用する予定である。
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