2016 Fiscal Year Research-status Report
現代エジプトにおける政治エリートに関する包括的研究
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16K02016
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鈴木 恵美 早稲田大学, 地域・地域間研究機構, 主任研究員(研究院准教授) (00535437)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 地域研究 / 政治学 / 政治史 / 中東 / イスラーム / 名望家 / エリート / 議会 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度の研究課題は2点予定された。一つ目は1967年のナセル期に設置された封建制廃止委員会において弾劾された大地主の考察で、二つ目はサダト期に復権を果たした地主出身の議会エリートのその後の政権で果たした役割の考察である。 一つ目の課題については、まず封建制廃止委員会に関する資料のなかから糾弾された地主の氏名を抽出し、それらの家族名が後のサダト、ムバーラク政権下で実施された議会選挙の議員名簿のなかに確認できるか否かの作業を行った。その結果、抽出された地主のほぼ全ての家族名を、その後の議員名簿のなかに確認することができた。したがって、封建制廃止委員会は1967年の第三次中東戦争勃発前後という特殊な雰囲気のなかで実施されたものであり、「封建制廃止」はむしろ名目的なものであったことが確認できた。また1952年以前の王制期に議席を占有した家族は、サダト政権下で復権し、ムバーラク政権下でも政治的、社会的影響力をもつ地位を維持したと結論付けた。 二つ目の課題については、議会議事録の精査を通して実施した。現地での調査時間が限られたため、考察できた対象期間はサダト期の1970年代に限定され、1980年代以降は次年度の継続課題とした。1970年代の考察の結果、サダト政権下で復権を果たした議会エリートは、主に農業委員会、立法委員会、予算委員会に所属していることが確認された。なお、当該年度は議会議事録の精査を中心に課題の解明に取り組んだが、議事録以外の資料を用いることの必要性を強く感じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、二つの課題の考察に取り組むことができた。しかし、二つ目の課題の考察は1970年代までにとどまり、1980年代以降は平成29年度に持ち越された。そのため、進捗状況としては、おおむね順調と判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、まず前年度に残した課題である1980年代以降の議会エリートが政権内で果たした役割を、議会議事録の精査を通して実施する。平成29年度に取り組む予定のマイノリティー出身のエリートと伝統的エリートの関係の考察は、比較的豊富にある二次資料に加え、株式年鑑や紳士録などの一次資料を用いる予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度は当初予定していたよりもエジプトにおける資料調査の期間を長く設定することができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
議会議事録を所蔵しているカイロアメリカン大学(エジプト)における調査期間を予定よりも長く設定することで、平成28年度に取り組むことのできなかった課題を解明する。
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