2017 Fiscal Year Research-status Report
体制形成期北朝鮮の言語規範化に関する政治文化史的研究
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16K02019
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
板垣 竜太 同志社大学, 社会学部, 教授 (60361549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高 榮珍 同志社大学, グローバル地域文化学部, 教授 (90329954)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 北朝鮮 / 言語学 / 言語政策 / 政治文化史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、体制形成期の北朝鮮における言語規範化をめぐる政治文化史的な研究であり、言語規範化のより総合的な研究(事業A)と金壽卿という研究者を中心とした事例研究(事業B)によって構成される。 2017年度は事業Bが大きく進捗し、単行本の草稿が完成した(7章+序章・終章+付録という構成)。当初想定していたよりも分量が多くなってしまい(約900枚)、これでは出版のハードルが高くなるため、出版社との相談をしはじめた。また、英語による学会報告もおこない、発信に務めた。特に、公刊を予定している単著のうち第2,3,5章のなかの文字論のエッセンスを台湾で報告し、また日韓独の三角交流プログラムで第7章となる部分を報告したが、いずれも単なるコリアン・スタディーズではない研究交流の場であり、そのようなところでも好評を得ることのできる研究であることを確認した。3月に韓国での追加調査を実施したが、金壽卿の遺族とともにフィールドワークをおこなうなど、単著に向けて研究をより深めることができた。ただし、こうした研究とりまとめの作業に比重が置かれた分、データ入力や海外調査が当初の予定どおりは進まなかった。 事業Aについては、これまでに公表した論文をまとめなおす作業を進めながら、進捗した部分について学会報告をおこなった。特に釜山での招待講演において、「言語的近代」という問題について、あらためて問題提起的な報告をおこない、活発な議論を呼んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究のとりまとめという点においては、書籍(単著)の草稿が完成するなど、事業Bが大きく進捗した。その分、研究基礎資料の入力作業などが予定していたとおりには進まず、この点については最終年度で改善したい。また、事業Aの方が校務との兼ね合いもあって遅れているが、これも最終年度で取り戻したい。これらを合わせて評価すれば、差し引きで「おおむね順調」と言うことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
計画の変更は特にない。単行本化の実現のための作業を急ピッチで進める。やや遅れている研究基礎資料の電子化作業について、2018年度こそは力を入れたい。1950年代の北朝鮮の言語学に関する文献調査などがまだ不足しているので、そこも推進したい。
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Causes of Carryover |
研究代表者は夏休み中に出張して海外調査をする予定であったが、ドイツの財団による日韓独の三角交流プログラムが採択されたため、その予算により3週間以上ドイツに滞在する必要性が生じた。その関係で予定していた海外調査ができなかった。また研究分担者も出張予定があったが、想定していなかった校務の関係で繰り延べとなった。これらは2018年度には執行可能となる予定である。
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Research Products
(4 results)