2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K02020
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
西村 卓 同志社大学, 経済学部, 教授 (70156107)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 智子 同志社大学, 人文科学研究所, 准教授 (00379041)
高久 嶺之介 京都橘大学, 文学部, 教授 (40104608)
河野 健男 同志社女子大学, 現代社会学部, 教授 (40144901)
鰺坂 学 同志社大学, 社会学部, 教授 (60135960)
本岡 拓哉 立正大学, 地球環境科学部, 特任講師 (60514867)
奥田 以在 同志社大学, 経済学部, 准教授 (60609551)
高野 昭雄 大阪大谷大学, 教育学部, 准教授 (70633303)
細辻 恵子 甲南女子大学, 人間科学部, 教授 (90199505)
麻生 将 立命館大学, 文学部, 助教 (00707771)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 京都 / 都心回帰 / 排除 / 包摂 / 文化 / 地域社会 / 近代 / コミュニティ |
Outline of Annual Research Achievements |
研究会を4回実施した(同志社大学人文科学研究所第15研究会と共催)。 第1回目の研究会では、高野昭雄氏による「排除と包摂」に関する研究として「統計資料から考える近代日本と在日朝鮮人-京都・大阪を中心に-」の報告を受けた。米騒動による朝鮮からの外米の移入とその受容について、京都・大阪・在日朝鮮人の視点から分析され、朝鮮から日本への移住要因も視野に入れた報告がなされた。 第2回の研究会では、京都の織物に関する著書を持つ北野裕子氏をゲストに「忘れられた祭り・京の染織祭(1931・昭和6年創設)」、高久嶺之介氏による「京につながる道の近代史」の報告を受けた。「文化の構築」の観点から報告された北野氏の研究では、昭和初期に20年間行われた染織祭について、昭和恐慌との関係からその意義が報告された。高久氏の報告では、道幅の分析から京都市と郡部との関係性や都市社会の変化、行政上の問題について報告がなされた。 第3回の研究会では、鰺坂学氏と河野武男氏の京都府綾部市における共同調査の成果が報告された。報告は鰺坂氏「大都市から地方の農山村への移動を目指すU・Iターン者の現状」と河野氏「人口減少地域における定住促進政策とIターン者の動向」であった。定住政策を行政のみならず、NPOや地域住民主体の交流といった様々な担い手が推し進めている実態とアンケート調査で明らかになった移住への高い満足度やその要因について解説がなされた。どちらも「まちとくらし」を考える上でも貴重な報告であった。 第4回の研究会は、ゲストである中村圭氏の「祇園祭における『伝統』の継承と変容」、田中智子氏の「明治期京都における官立専門教育機関設立問題の展開」の報告を受けた。中村氏は住民の新陳代謝が伝統に与える影響などについて、田中氏は近代京都の教育問題について報告され、「まちとくらし」、「文化の構築」などを考える上で重要な報告を受けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、京都について「まちとくらし」「文化の構築」「排除と包摂」という、かなり多様な視点からの分析を進めていこうとするものである。それぞれの研究は、独立した視点ではあるものの、都市というものはそれぞれが密接に関係を持たざるを得ない空間である。そのため、それぞれの研究を研究会を通じて知り、各々がそれを持ち帰ることで京都の都市空間がより「立体的」に描かれる素地が作られる。 当初の研究計画においても、年に4回の研究会を計画しており、今年度はその方針に沿った形で進められ、おおむね順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究も、同志社大学人文科学研究所の研究会と連携しながら、研究会を中心に進めていく。各自の研究は、適宜『社会科学』誌に投稿しつつ、終了後には研究叢書の刊行を目指す。
2017年度以降も、この研究の研究分担者を中心としつつ、ゲストを招いて知見を広げながら、研究を推進していく。具体的には、年に4回の研究会を実施し、必要があればフィールドワークを行う。
現在のところ、研究を遂行する上での大きな問題は生じていないため、上記の予定で研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
各分担者の物品の購入が少なかったことに加え、旅費、アンケート調査やヒアリング調査に伴う人件費への振り替えも少なかった。これが主たる原因と考えるが、研究自体は順調に進んでいる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
個々の研究は、2017年度も分担者がエフォートに基づきながら研究を進めていき、研究費を利用する予定である。特に、「まちとくらし」部門における資料費が増えること、旅費の使用も増える予定である。その他にも、アンケート調査等に関わる人件費等も増加する予定にある。
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