2016 Fiscal Year Research-status Report
ロシアにおける高齢者ケアの総合的研究:理想と現状とのギャップを埋めるため
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16K02023
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Research Institution | Tenri University |
Principal Investigator |
五十嵐 徳子 天理大学, 国際学部, 教授 (80294156)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ロシア / 高齢者 / 移民女性 / ジェンダー / ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題はロシアにおける高齢者ケアという先駆的な研究であり、日ロ関係にとって有益であり、その成果を国際的に発信することを意図とする。内容としては、ロシアにおける高齢者ケアの理想と現状とのギャップを埋めるための総合的な研究である。具体的な研究項目は、①ロシアの高齢者ケアに関する法律とその適応の分析、②高齢者が望むケアと現状の把握、③高齢者ケアに従事する家族の意識と現状の理解、④公的及び民間の高齢者ケア従事者の意識と現状の解明、⑤個人的に高齢者ケアに従事する主に移民女性の意識と現状の検討、⑥①~⑤の総合的分析、である。ロシア社会の分析において不足している高齢者ケア研究を当事者の目線からの分析を展開するとともに、ロシアの高齢者ケア分析の礎石となることを目的としている。 28年度は、①~⑤の課題を遂行するために、1)文献調査から本研究に適した方法論等を抽出、課題②~⑤のために、2)社会学的予備調査の質問項目の作成、3)予備調査をペテルブルグとその近郊において、ケアを受ける高齢者、高齢者をケアする家族、公的及び民間の高齢者ケア従事者、個人的に高齢者ケアに従事する主に移民女性に聞き取り調査を実施した。 ペテルブルグにおいて、高齢者、一時的な高齢者の施設のヘルパー、施設に親戚を預けている女性、ユダヤ人慈善センター、支部センター、ユダヤ人高齢者老人ホーム、ウズベキスタンからの移民女性に聞き取り調査を行った。本課題にとって非常に重要な資料を収集することができた。 また、本年度の研究成果をロシア・東欧学会研究大会、北海道大学のスラブ研究センターにおける国際会議において招待講演を行った。研究成果は著書、論文の形で出版予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は予定通り進行している。文献調査と社会学的な調査を並行して進めている。 その研究成果を4本の和文論文の形で出版している。また、今後2本の英語論文が出版される予定である。 また、本年度の研究成果をロシア・東欧学会研究大会、北海道大学のスラブ研究センターの国際会議において招待講演を行った。 以上から、本研究は概ね順調に進展していると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、昨年の文献調査と社会学的調査をさらに進めていく。具体的には、平成29年度はペテルブルグで行った28年度の調査結果を基礎に、さらに同市で調査を継続する。また、ウラジオストック、カザン、イルクーツクでの調査も計画しており、来年度はウラジオストックでの調査を予定している。今後調査を予定しているウラジオストック、カザン、イルクーツクで実施できない場合は、ハバロフスクなどの都市を予定している。更にこれまでの研究の深化を目指す。
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Causes of Carryover |
昨年度はペテルブルグ市内での調査が中心であり、郊外への調査回数が若干予定より少なかったこと、必要である書籍が年度中に発行されなかったことが原因となり次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は昨年度に予定していたペテルブルグ郊外での調査の回数を増やすことと、書籍の購入が予定されている。
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Research Products
(7 results)