2018 Fiscal Year Research-status Report
韓国のフィリピン人女性エンターテイナーをめぐるジェンダー・ポリティックスの研究
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16K02034
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Research Institution | Aoyama Gakuin Women's Junior College |
Principal Investigator |
辻本 登志子 青山学院女子短期大学, 現代教養学科, 助教 (50749851)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | フィリピン / 韓国 / フィリピン人女性エンターテイナー / 人身取引 / 移住労働 / 性産業 / 被害者支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は諸事情により、海外における調査を延期せざるを得ない事態が発生し、研究計画に大幅な変更があった。しかし、これまで二年間行ってきた調査研究結果を整理し、現在学会発表や執筆活動に邁進しているところである。 2018年度は韓国の遊興施設等で働いた後、フィリピンへ帰国したフィリピン人女性エンターテイナーへの聴き取りを計画していたが、研究代表者の事情や韓国でエンターテイナーとして働いていたことがフィリピン社会で一種の烙印となっていることが憂慮され、研究対象者へコンタクトを試みることへの倫理的問題が存在する。結局、処々の事情を鑑みて、この計画は断念せざるを得なかった。 一方、人身取引などの諸問題を抱え帰国したフィリピン人海外労働者に関する研究は非常に少ないが、研究分担者として参加した別の科学研究費助成事業において、フィリピンの社会福祉開発庁(Department of Social Welfare and Development)職員からの聴き取りを2019年3月に実施した。同庁は「人身取引被害者のための更生と(社会的)再統合のためのプログラム(Program of Recovery and Reintegration for Trafficked Persons)」を統轄しており、フィリピンの国際空港において人身取引を疑われ出国を阻止された「潜在的な被害者」を保護する活動や、海外で人身取引被害に遭い、帰国後に更生プログラムを必要とする被害者へのケアを行っている。現在同庁では、海外への渡航を阻止された人身取引の「潜在的な被害者」や、国内における性的搾取を目的とした人身取引被害者が主要な対象者となっており、帰国後に支援を求める人身取引被害者の数は多くないことが分かった。 今後、帰国後の人身取引被害者へのケアに関して、調査研究を更に進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2018年度は研究代表者に事情が生じ、8月と9月に韓国とフィリピンで実施する予定にしていた調査活動を延期せざるを得なくなった。それにより研究計画の大幅な見直しが必要となり、結果的に本事業の一年延長を申請することとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度、実施する予定であった韓国における調査活動と、移住と人身取引に関する日韓の専門家によるシンポジウムを日本で開催するための準備を進行中である。韓国側の関係者には現在コンタクトを試みており、近々詳細について打ち合わせを持つことを計画中である。日本の協力者については現在調整中であり、これについても近々決定する予定である。 シンポジウムの課題はまだ未定であるものの、日韓における移住と人身取引に関する関心も若干差異が見られるため調整検討を行っているところである。
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Causes of Carryover |
研究代表者のやむを得ない事情により、2018年度に計画していた日韓の専門家やNGO活動家による移住と人身取引に関する国際シンポジウムの準備と開催ができなかったため。 2018年度に実施できなかった上記の国際シンポジウムを2019年度に実施するために、7月か8月に韓国を訪問し、当該団体関係者と打ち合わせを行う予定である。国際シンポジウムの実施は2020年1月か2月中に実施することを計画している。
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Research Products
(2 results)