2018 Fiscal Year Annual Research Report
The Sex and Reproduction through Early-modern to Modern from the Viewpoint of Gender and Lives
| Project/Area Number |
16K02035
|
|---|
| Research Institution | Okayama University |
|---|
Principal Investigator |
沢山 美果子 岡山大学, 社会文化科学研究科, 客員研究員 (10154155)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
| Keywords | いのち / ジェンダー / 性 / 生殖 / 近世 / 近代 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、性と生殖の現場として「家」と「遊所」を取り上げ、性と生殖の近世から近代への重層的な展開を明らかにすることにある。そのため２８年度には「いのち」の視点を明確にするために、日本人口学会公開シンポジウムで「近世日本の妊娠・出産管理」と題する報告を、大阪歴史科学協議会例会で「乳からみた近世社会の女の身体・子どものいのち」と題する報告を行い、『歴史科学』に論文としてまとめた。さらに２９年度は「いのち」の視点から性 と生殖の問題を考えるうえで、「乳」と出産に焦点を当てることの重要性が改めて浮かび上がってくるなかで、産婦、乳幼児ともに死亡率の高かった近世社会の人々は、どのように「いのち」をつないできたのか、「乳」を切り口に、日記や妊娠・出産管理政策の中で残された史料群、図像など多様な史料を手がかりに『江戸の乳と子どもーいのちをつなぐ』をまとめた。
最終年度には、近世後期の下層武士の日記を素材に、離別によって母子となった事例を取り上げ、共同体のネットワークのなかで、どのようにいのちをつないでいったのかについてまとめたほか、山形大学附属博物館所蔵文書のなかの女・子どものいのちに関する史料収集をおこなった。
なお本研究の持つ意味を歴史学全体の研究状況の中に位置付けるため「いのち」とジェンダーの視点が歴史学にとって持つ意味について『現代歴史学の成果と課題』所収「いのち」とジェンダーの歴史学」としてまとめた。以上三年間の本研究の成果は『女と男の近世史(仮題)』(岩波新書)として刊行予定である。
|
